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危険なバイオ燃料ブーム

 最近「バイオ燃料 畑でつくるエネルギー」という本を読みました。

この本は、バイオ燃料ブームが社会にどうのような影響を与えているのか、本当に環境にやさしいのかなど、バイオ燃料の実像をうまく整理しており、かなりインパクトのある本だと感じました。

 バイオ燃料のメリットは、採掘して消費するだけの石油・石炭などの化石燃料と異なり、毎年栽培でき、枯渇しない点です。しかもCO2を取り込んで成長するから、地球温暖化対策に、相対的には役に立つと考えられています。しかし、デメリットもあります。まず、育てる畑で用いる化学肥料や農薬も、農作業に用いる農業機械も工場で造られるし、バイオ燃料自体も工場で製造されます。その過程で化石燃料を使用することには変わりありません。そして、食料や家畜の飼料と競合します。最近、石油価格の高騰もあってとみに食料や家畜の飼料の価格が高騰しています。さらに、発展途上国や貧しい人々の食料を奪う結果となり、グローバリゼーションの中で、富める者を一層豊かにし、貧しい者をさらにどん底に突き落とし、格差を拡大する役割を果たしています。

 バイオ燃料ブームによってアメリカのトウモロコシの栽培面積は大幅に増加しています。これまで多くの農家は、トウモロコシと大豆を1年おきに栽培して、病気や害虫の発生を防ぎ、地力を維持してきました。ところが、この輪作体系が崩れ、トウモロコシを連作するようになったため、害虫が増えているといいます。それを防ぐために害虫殺虫性をもつ遺伝子組み換えトウモロコシの栽培が増えています。恐ろしいですねぇ。まさに農薬が仕込まれた種でトウモロコシを栽培していることになります。これを人間が食べたらどうなるでしょうか。除草剤をかけても枯れない除草剤耐性作物やバイオ燃料を製造しやすいように性質を変えられた種子も遺伝子組み換え技術によって作られています。バイオ燃料用の遺伝子組み換え作物が各地で栽培されるようになると、食料用の作物と交雑するようになります。花粉は想定よりもはるかに遠くまで飛散することが明らかになってきました。このままでは遺伝子汚染が拡大し、食べ物の安全性にも影響が出てきます。

 バイオ燃料は、原料の栽培に広大な面積を必要とする点でも、非常に効率の悪いエネルギーです。ブラジルでバイオ燃料の原料として用いられている作物はサトウキビです。最近、栽培面積が増えて約600万haに達し、多くの大豆畑がサトウキビ畑に変わりました。その結果、アマゾンの熱帯雨林を伐採して新たな大豆畑が生まれています。サトウキビと大豆が車の両輪になって、熱帯雨林を侵略していることになります。莫大な量のCO2を吸収し、酸素に変える熱帯雨林の伐採は、いうまでもなくCO2の増大をもたらし、温暖化を促進します。

 バイオ燃料は、有害物質を増やす可能性もあるそうです。バイオエタノール混合ガソリンが増え続けると、排気ガスの組成に変化が起き、それが引き起こす健康への影響が懸念されています。バイオエタノールの増加がアセトアルデヒドを増加させる可能性があります。アセトアルデヒドは発がん性があるかもしれないとIARC(国際がん研究機関)が分類している物質です。

 こう考えると、バイオ燃料はメリットよりデメリットの多いかなり危険な燃料のように思えてきました。ブームに踊らされないで、真実をしっかりと見極め、行動しないと取り返しのつかないことになります。この本を多くの方に読んでいただき、考えていただきたいと思います。

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