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海洋温度差発電

 今日、「報道2001」という番組を見ていますと、番組の後半で、元ソニー会長の井出伸之氏と竹村健一氏の話の中で、海洋温度差発電を事業化しているベンチャー企業「ゼネシス」の紹介がありました。そこで海洋温度差発電について調べてみました。

 海洋温度差発電は、海洋の表層の温度と深層との温度差を利用して電気エネルギーに変換する発電システムです。火力発電では熱で水を沸騰させ、蒸気でタービンを回して発電しますが、海洋温度差発電では、アンモニアと水の混合液を沸騰させて蒸気を得ます。水の100℃に比べてアンモニアと水の混合液は沸点が33℃と低く、容易に沸騰させることができます。発電の流れは次のようになります。アンモニアと水の混合液が作業流体として、液体の状態でポンプによって蒸発器に送られます。そこで表層の暖かい海水によって加熱され、蒸発し、蒸気になります。蒸気はタービンを通過することによって、タービンと発電機を回転させて発電します。タービンを出た蒸気は、凝縮器で約600~1000mの深層よりくみ上げられた冷たい海水によって冷却され、再び液体になります。この繰り返しを行うことで、化石燃料やウランを使用することなく、海水で発電することが出来るというわけです。CO2の排出量が極めて少ない発電方式として注目されています。

 この技術は佐賀大学理工学部の海洋エネルギー研究センターの上原春夫教授のチームが中心に研究されています。(株)ゼネシスの創業者里見公直氏は平成7年、上原春夫教授主宰の「成長の原理」入塾した際に、電撃的ショックを受け、それから海洋温度差発電の事業化に取り組んだと里見公直氏はインタビューに答えています。

 海洋温度差発電で得たエネルギーによって海水を淡水化したり、得られた電気と水を利用して水素を製造したり、海洋深層水の冷熱を利用した地域冷房に活用するなど、さまざまな技術応用が期待されています。(株)ゼネシスは石油産出国であるサウジアラビアやクエートにも進出し、これらの国は海洋温度差発電エネルギーによる海水淡水化技術に注目しています。近々受注の運びといいます。地球温暖化やエネルギー問題もさることながら、飲み水が不足している国がたくさんあります。こちらの方がもっと深刻な問題といえるでしょう。

 日本の経済水域での海洋温度差エネルギーの総量は、試算によると1年間に1014kWhで、石油換算で約86億トン。2000年時点で日本が必要としたエネルギーの約15倍になるんだそうです。仮に日本の経済水域内の温度差エネルギーの1%を利用するとすると、年間8600万トンの石油を節約できることになります。

 海に囲まれた日本、これを利用しない手はありませんね。温暖化防止に大きな希望が見えてきたような気がしました。平成元年にお酒を作る機械の製造・販売からスタートした小さなベンチャー企業がこういったことに積極的にチャレンジしていることにも感銘を受けました。

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