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自然エネルギーは増やせるか

 今日、NHKの「クローズアップ現代」では、地球温暖化対策シリーズ第1段として、「自然エネルギーは増やせるか」というタイトルで放送されました。

 日本のCO2排出量の割合は、発電30.3%、産業30.2%、運輸19.4%、業務7.9%、家庭5.0%、その他7.2% となっています。発電と産業で60%を超える排出量となっています。しかも、発電は1990年に比べて21%も増加しています。発電のCO2排出量を減らすためには、自然エネルギーの増加が必要です。各国の自然エネルギーの導入目標は、ドイツ45%(2030年)、中国21%(2020年)、アメリカ15%(2020年)、日本1.63%(2014年)となっており、日本の目標の低さが目立ちます。では、なぜ、日本では自然エネルギーへの転換が進まないのでしょうか。

 日本の低い目標が自然エネルギー導入の妨げになっていると指摘する声があります。5年前、国は自然エネルギーを普及させるとして新たな制度を作りました。電力会社に電気の供給量の一定の割合を自然エネルギーでまかなうように義務づけました。しかしその割合はわずか1.35%。青森県でNPOが市民から資金を集めて風車を作りました。去年、2基目を作ろうとしましたが、買い取ってもらえるのは電力会社の供給量のわずか1%台。希望者が多かったために抽選となりました。倍率は20倍。青森のNPOは落選しました。自然エネルギーを作ろうとする事業者はたくさんいるのに、電力会社の買取り枠が小さいので、自然エネルギーが作れないのです。国は電力会社の負担をかんがみ、買取義務の枠を上げられないといいます。電力会社としては、消費者に安く、安定して電力を供給する必要があります。しかし、風力発電は不安定ですし、コストがかかります。

 一方、ドイツでは既に12%を自然エネルギーでまかなっており、2030年までには45%にする目標をかかげています。ドイツでは2000年2月に「再生エネルギー法」が成立しました。この法律は電力会社に自然エネルギーをすべて買い取ることを義務づけています。買い取る価格は風力発電の場合、発電にかかるコストよりも40%高く買い取るように設定されています。1キロワット時あたり約12円。風車の建設から20年間はこうした優遇策を受けられます。利用者にも電気料金を1世帯あたり200円~300円上乗せしています。これを電力会社の購入費用の埋め合わせに使っています。当初、電力会社から反発がありましたが、政治のリーダーシップで成立させてしまいました。ドイツには自然エネルギーの電力だけを供給する電力会社も生まれています。この会社は6万5000世帯と契約しており、供給する電力の内訳をホームページで公開しています。消費者は、太陽光、水力、風力、バイオマスのどの電気をどれだけ消費しているかを確認できます。また、ドイツ周辺の8ヶ国からも自然エネルギーを送電線ネットワークを通じて購入し、安定供給できるようにしています。EUでは自然エネルギーの供給者が送電線を優先して使えるルールがあるのです。ドイツでは、21世紀は自然エネルギーが産業の柱になると考えています。

 日本でも5年前にドイツと同じことを議員立法で議論したことがありました。しかし、その時の政治的ないろんな経過があり、制度を簡単に見直せなくなり、国も電力会社もいきづまりの状態にあります。電力会社だけに負担を押し付けようとするとやはり無理があります。そこで、環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也さんは、買取枠を広げないで自然エネルギーの導入、転換を進める方法として「グリーン電力証書」を利用して電力会社だけではなく、自然エネルギーと消費者としての国民、企業が直接向かいあう制度を提案していました。「グリーン電力証書」を購入した企業はCO2を削減した価値がありますよとします。さらに石炭にはもう少し課税をして、企業が自然エネルギーを使ったら減税するというように、温暖化防止に取り組んだ企業が儲かるようなインセンティブを設けるという提案です。事業者が作った自然エネルギーを電力会社だけでなくもっと直接企業が買いやすくするしくみを作るというわけです。

 このような提案を政治家がリーダーシップをとり、国民とともに広く議論し、コンセンサスをとっていくことを期待したいものです。

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