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ヨーロッパ企業が取り組むカーボンマネジメント

 録画DVDから、1/28に放送されたNHKクローズアップ現代の「ヨーロッパからの"新しい風"(1)カーボンマネジメント」を見ました。

 世界の政財界のリーダーが一年に一度、真冬のスイスに集った「ダボス会議」の場で、キャスターがヨーロッパの企業のトップにインタビューしていました。

 第一は、ヨーロッパ第4の電力会社バッテンフォール社のラース・ジョセフソンCEOです。この会社はスウェーデンにありEU6ヶ国に電力を供給しています。従業員は3万人。ジョセフソンさんは、CO2排出規制はビジネスチャンスにつながるといいます。この会社の目標は2030年までにCO2排出量を現在の半分にすることだそうです。昨年世界最大の海上風力発電施設を開設しました。今後10年で6,000億円以上を再生可能エネルギーに投資する計画だそうです。ドイツではCO2排出ゼロを目指す石炭火力発電所の建設を始めました。石炭は価格が安く埋蔵量も豊富ですが、CO2を多く排出します。そこでCO2を分離して地中に貯留する仕組みを開発しているといいます。ジョセフソンさんは排出量取引を世界に拡大していくべきだといいます。まず最初に世界全体の排出削減目標の上限を決めます。それを世界全体に公平に割り当てます。CO2の削減を進めたところには排出権が生まれます。数値目標を設定すると、排出権に価値が生まれ、値段がつきます。値段がつくと取引が発生します。これにより対策にかかるコストを節約できます。

 世界に1万以上の支店を持つ銀行HSBCでは、業務で出るCO2を徹底的に管理しています。この会社では行員一人当たりのCO2排出量の20%が出張の際の移動によるものだとわかりました。そこで出張を減らしテレビ会議システムを導入しました。個人の机にもテレビ会議システムがあります。この会社では出張は50~60%も減りました。CO2排出量の削減だけでなく、移動にかかる経費の節約にもつながりました。

 イギリスのNPOカーボンディスクロージャープロジェクト(CDP)は世界の300を超える機関投資家や金融機関と連携しながら企業に対して温暖化対策で情報公開を求める活動を進めています。世界500社以上の企業に質問状を出しています。CO2排出量がどのくらいか、CO2を管理する担当者や組織があるかなど項目は多岐にわたります。回答は投資の判断材料になります。CDPでは企業毎に点数を付けたり、格付けをしたりして公開しています。一方、回答を拒否したり、不十分だと判断した企業名も公開しています。CDPのデイキンソン代表は、温暖化対策への投資に消費者の関心が急速に高まっているといいます。消費者は問題のある企業にはお金を出さなくなり、対策を進める企業の商品を買うだろうといいます。

 オランダにある世界200ヶ国にネットワークを持ち、16万人の従業員を抱える総合輸送会社TNTは、CO2の排出ゼロを目指すと宣言しました。この会社は、各部門毎のCO2排出量を業績と一緒に公表しています。削減に貢献した社員は"環境チャンピオン"として表彰され、ボーナスにも反映されます。社員には自宅でも努力を求められます。社員の自宅に提携する環境団体の専門家を派遣し、ガス器具や電気製品などの効率的な使い方を指導します。コンロは掃除して動くようにしておく、鍋はふたをして、エネルギーを無駄にしないようになどです。訪問は1人の社員につき5回行われ、削減の進みぐあいをチェックします。TNTのピーターバッカーCEOは、自分の会社が真っ先に取り組めば従業員は自分の会社を誇りに思うはずと言っています。「従業員も環境に配慮した生活に変えたいと願っています。会社がその方向を示せば、社員との間で意識を共有することができるようになります。我が社の従業員は世界中に16万人います。1人につき3~4人の家族がいるとすると、世界中で50万人が関係していることになります。50万人がCO2削減に取り組むことになります。これは大きなことです。」と言っています。

 ダボス会議で、日本の福田首相は「日本は国別総量目標を掲げてCO2削減に取り組みます。」と宣言しました。国内の産業毎の削減目標を積み上げで日本としての総量目標を決めるというものですが、その結果目標となる削減量が小さくなれば、EUなどの反発は避けられません。これに対してピーターバッカーCEOは、目標に対してどう実施するのか、どんな手段があるのかを明確にする必要があると言います。「必要なのは企業がまず対策の準備に取りかかること。完全な技術が用意されるまで待つ必要はない。時にはリスクを犯すことも必要。いいアイデアがあればそれを試してみて実現の方法を探し、進んでいくことが必要です。」と言います。

 このように、ヨーロッパの大企業の経営者は企業が果たすべき大きな責任についてしっかり認識しています。資金力のある大企業が積極的にさまざまな取り組みを行い、その中で有効なものを世界に広めていく、そして有効なしくみづくりのアイデアを企業が国に提言し、国を動かしていくことも重要でしょう。

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投稿: | 2012年10月25日 (木) 10時55分

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