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広がる特定者間オフセット

 日経エコロジー11月号に、「広がる特定者間オフセット、山善は独自の『製品CDM』」という記事が掲載されていました。

 カーボンオフセットは、ほかで減らしたCO2を自らの削減量に換算するもので、通常は排出枠やグリーン電力証書などの第三者が認証し流通する「環境価値(クレジット)」を使います。しかし最近、たとえばCO2削減プロジェクトを直接支援し、そこで生まれるCO2削減価値を自社の削減量に組み入れるということが行われるようになってきているといいます。これを「特定者間オフセット」と呼んでいます。流通している排出枠などを購入するのに比べて手間はかかりますが、削減プロジェクトに直接関わり、相互の信頼感が高まりますし、加えて必ずしも第三者認証が必要ないため、コストが下がる可能性があるといわれれています。

 今年4月、兵庫県加西市は廃食用油からバイオディーゼル燃料(BDF)を製造する事業を始めました。このBDF製造装置の導入費用を負担したのは、日本サムスン(東京都)で、同社はその見返りとして、同事業から生まれるCO2削減価値をもらい受け、2010年までに2006年比25%削減という目標達成に充て、20%分をこのプロジェクトで減らし、残り5%を自社オフィスの省エネで削減する計画だそうです。

 機械・機器商社の山善は「製品CDM(クリーン開発メカニズム)」という手法を使って、顧客の工務店や工事店などに対して特定者間オフセットを提案しています。製品CDMとは、省エネ型製品によって生み出されるCO2削減量を排出枠として認定しようというもので、京都議定書のCDM手法として日本の家電メーカーが提案しています。実際には削減量の検証や排出枠の帰属先などの課題が多く、国連は認めていません。

 山善が省エネ機器をエンドユーザーに売った場合、あらかじめ試算したCO2削減効果に基づいて排出枠を認定します。ただ、山善が認めただけのVERでは社会的認知に乏しいので、山善があらかじめ購入していた国連認定の排出枠(CER)と交換します。販売店はこれで得たCERを使い、自社で排出したCO2をオフセットしたり、排出権(CER)付き商品としてエンドユーザーに還元するということになります。

 通常のカーボンオフセットというと、お金だけ出して他人のCO2削減努力を買うということで、CO2削減に関与しているという実感が沸きにくいのですが、特定者間オフセットの場合は、クレジットの買い手がCO2削減プロジェクトを実質的に支援するということで、実効性も上がるような気がします。こういう方法が広まって、実質的に国内のCO2排出削減の効果が上がることを期待したいものです。

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