環境配慮型素材

木材を金属のように加工する

 6月30日に放送された「夢の扉」を録画から見ました。テーマは「素材革命!木材が金属やプラスチックに代わる!?」です。 木材というと切削加工しかできないと思っていたのですが、金属やプラスチックのようにプレス加工ができるのです。これは驚きです。

 この技術のポイントは、細胞の間にあるリグニンという物質にあります。リグニンというのは、木の中に含まれている物質で、木の繊維の中に入り込み、鎖のように縛りつけ硬くする性質があります。ある薬剤を染み込ませ熱を加えてプレスするとリグニンが柔らかくなり、一つ一つの細胞が分離し滑り動きだすそうです。さらに熱を加えると木はその形のまま固めることが出来るのだそうです。産業技術研究所の金山公三さんが発見し、「流動成形」という技術として確立しました。詳しくは、産業技術研究所の発表資料「木質材料の流動性発現による複雑三次元成形加工」が参考になります。

 木を自由に成形できれば金属やプラスチックに代わる資源になる可能性があります。以前にもこの番組で「リグニン」にまつわる技術が取り上げられました。木材からリグニンだけを取り出して、それに古紙などのやわらかい木質系廃棄物を形作ってリグニンの養液に浸すことでプラスチックのように固めるという技術です。リグニンについてもっと深く研究すると木材が金属やプラスチックより優れた素材になるかもしれませんね。

にほんブログ村 環境ブログへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

人工光合成

 1/8の日経新聞朝刊に、「光合成まね『太陽光資源』-水素や化学原料、実用急ぐ」という記事が掲載されていました。

 植物の光合成は、水と二酸化炭素に太陽光の光エネルギーを使って水を分解する「明反応」とそれらの素材からブドウ糖や酸素を作り出す「暗反応」とで成り立っています。人工光合成において、「明反応」の部分は光触媒に光を当てて水を分解し、水素を製造する方法が研究されています。当初紫外線を当てないと反応しませんでしたが、2000年以降、可視光に反応するタイプが出てきています。一方「暗反応」の部分はなかなか成果が見られなかったのですが、2011年にトヨタ自動車グループの研究所で、半導体表面に「金属錯体」と呼ばれる特殊な化合物を重ねた新しい光触媒を反応容器内に収め、水とCO2と太陽光だけでギ酸を合成することに成功したそうです。

 水素の製造は、自動車燃料や燃料電池の発電への道につながりますし、化学原料の製造は、エネルギーをガスや液体に変えて貯蔵・運搬できる道につながります。CO2を吸収して酸素を吐き出せれば温暖化対策にもなります。いずれも日本の研究が最先端だそうです。夢が広がりますね。

にほんブログ村 環境ブログへ

| | コメント (2) | トラックバック (0)

リグニンで古紙をプラスチックに

 11/7(日)の「夢の扉」という番組で、「木から作るプラスティックで世界を変えたい」という放送を見ました。

 古紙などの木質系廃棄物からプラスチックが作れるというのです。開発したのは三重大大学院の松岡正光教授。古紙を水に溶かして型にはめ、作りたい形に成型します。乾燥させると形が出来ますが、このままでは強度が弱くちょっとした力で崩れてしまいます。それで、古紙を成型した物体をリグニンという物質を溶かし込んだ溶液に浸します。すると木のように硬くなるのです。硬くて軽いプラスチックのような製品が出来上がるのです。

 リグニンというのは、木の中に含まれている物質で、木の繊維の中に入り込み、鎖のように縛りつけ硬くする性質があるのだそうです。木が立っていられるのもリグニンがあるからなんです。の性質は木を切り倒して切断した木片になった状態でも維持されます。これまで、世界中の多くの研究者が木からこのリグニンだけを取り出そうと試みてきましたが、実現できませんでした。木の繊維だけを溶かし、リグニンを取り出そうとしてもリグニンも一緒に溶けてしまって取り出せなかったのです。松岡教授は、ある日まずリグニンをコーティングして溶液に溶けないようにしてから木質繊維を溶かし、リグニンだけを取り出すことに成功しました。研究を開始して15年が経過していました。その2年後に"リグぱる"というプラスチックを完成させたのです。すでに2005年に開催された「愛・地球博」で紹介された「未来の乗り物」、トヨタのアイユニットのボディにも使われていました。

 「リグぱる」で作った製品は、その役目を終えると、溶かしてまた新しい形に成型して、もう一度リグニンの溶液に浸すことで、何回でも蘇るといいます。いま、徳島県那賀町の山間部にリグニンを取り出す大型プラントを建設する計画があるそうです。材木業などからでる木質廃材を使ってリグニンを大量に取り出し、有り余る古紙などの原料からプラスチック製品を作るというのです。

 石油が枯渇するのは時間の問題です。素材としての石油に代わるのが木から作るプラスチック。生物資源から益々目が離せません。

にほんブログ村 環境ブログへ

| | コメント (1) | トラックバック (0)

可視光に反応する光触媒の発見

 昨日の日経新聞朝刊に、「光合成、植物並み高効率-物材機構、人工材料を発見」という記事が掲載されていました。

 物質・材料研究機構は、光合成反応の一種を、植物並みに高い効率で人工的に起こせる材料を発見したそうです。それはリン酸銀と呼ばれる光触媒材料です。一般的は光触媒である二酸化チタンは紫外線にしか反応せず、反応効率は20%と悪いのですが、リン酸銀は可視光に反応するため、反応効率は90%と高いそうです。

 実際の植物の光合成では、水の分解で酸素、水素をそれぞれつくる2つの反応が連動していますが、今回の新材料では酸素の部分を担っており、水素の部分まで含めると更なる研究が必要ということです。

 ただ、今回の発見で人工光合成へ一歩近づいたという感じがします。酸素を発生させるだけでもいろいろとメリットがあると思われますが、将来、家やビルの壁面に塗られた光触媒が光合成をし、二酸化炭素を吸って酸素を吐き出すということも、夢ではなくなるかもしれません。

にほんブログ村 環境ブログへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

日本の水処理技術、汚水も海水も飲み水に

 1/7(木)の日経新聞朝刊に、「アジアに仕掛ける高性能膜、11億人を潤せ」という記事が掲載されていました。

 シンガポール沿岸部にある「チャンギ・ニューウオータープラント」では下排水などの汚水を飲み水に再生しているそうです。そこで使われている技術は、東レ製の浸透圧よりも大きな圧力で汚水を押し出すことで異物を取り除く逆浸透膜(RO膜)です。

 北京で有名な高アルコール度数の濁り酒「紅星」の工場では、日東電工のRO膜で水道水をろ過し、酒の仕込みに使っているそうです。天津では、2009年7月に日東電工のRO膜を利用した海水淡水化プラントが稼動しています。

 大阪市水道局と関経連、東洋エンジニアリング、パナソニック環境エンジニアリング(大阪府吹田市)の4者は共同で、水質悪化や水不足が深刻化しているホーチミン市の国営水道会社の水道トータルシステムを診断し、浄化技術や漏水を防ぐ技術などのノウハウを供与するそうです。かつては、「まずい水」の代名詞だった大阪市の水が、オゾンや活性炭の利用で水質が改善し、ペットボトル入りの水道水「ほんまや」を販売しています。

 世界の渇水地域は中国、中央アジア、中東、アフリカなどに広がり、飲料水が十分に得られない人は11億人ともいわれています。また食料生産にも水は欠かせません。人間が生きていくのに欠かせない水。地球温暖化でヒマラヤの氷河が溶け出し、渇水が懸念されている中国では、水の再生利用は極めて重要です。こうしたアジアで日本の水処理技術が貢献できるのは嬉しいことですね。環境ビジネスの視点からも大きな市場になります。単品技術だけではなく、美味しい水を届けるシステムとして日本の企業や自治体に頑張ってほしいものです。

にほんブログ村 環境ブログへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

炭化ケイ素で省エネ半導体

 今朝の日経新聞に、「炭化ケイ素で省エネ半導体-ローム、環境車向け開発」という記事が掲載されていました。類似の記事が日刊工業新聞にも掲載されていました

 家電や自動車の電源部分などに組み込む電力制御用のパワー半導体で、基板素材をシリコンからケイ素(SIC、シリコンカーバイド)に置き換える研究開発が加速しているといいます。

 炭化ケイ素は炭素とケイ素が1対1で結合した化合物で、電圧への耐性がシリコンの約9倍で、その分、素子を薄くできます。抵抗が減り消費電力も抑えられるそうです。つまり炭化ケイ素の半導体は流れる電力の損失を極力抑えることができるということです。ただ、技術的に確立されたシリコンと違い、円盤上のウエハーにするためには課題が多く残されていました。たとえば融点が2000℃と高く、素材を蒸発させてウエハー本体(インゴット)を作る時に原子がきれいに並ばないという課題がありました。最近、ようやく温度や圧力などの最適な条件が見つかり、欠陥の少ないウエハーが作れるようになりました。

 今年4月に新日本製鉄が炭化ケイ素を使った4インチサイズのウエハーを国内企業として初めて販売しました。そして8/7に、ロームと京都大学大学院工学研究科木本恒暢教授は、炭化ケイ素製トランジスタ「トレンチゲート縦型MOSFET」の大容量化に成功したと発表しました。単チップの電流容量を従来の約3倍の300アンぺアへと拡大。これによって電気自動車や鉄道といった分野で、電力を制御するパワー半導体としての実用化が可能になるといいます。

 その他、日立製作所はサーバー電源用、三菱電機は太陽光発電向けの炭化ケイ素パワー半導体を研究開発を行うとのことです。

 素材分野でも省エネに向けた研究開発が続々と進められています。半導体は応用範囲が広く、産業の米と言われていますが、シリコンから炭化ケイ素への転換は素材革命に値するもので、今後の動きを注目していきたいですね。

にほんブログ村 環境ブログへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

CO2を減らす製鉄法

 今朝の日経新聞に、「CO2減らす製鉄法開発-鉄鋼各社が研究加速」という記事が掲載されていました。

 鉄鋼各社は共同でCO2排出量を大幅に減らす製鉄新方式の開発を加速しているそうです。

 JFEスチールは今年度中に千葉市の研究拠点に1日3㌧のCO2を吸収できる実験設備を導入するそうです。高炉で鉄鉱石とコークスが反応した際に発生するCO2の適した吸収剤の開発に取り組むとのことです。2010年度には製鉄工程で発生する「スラグ」の廃熱回収設備も設ける予定だそうです。

 新日鉄グループは、化学溶液でCO2を回収・分離するための試験設備を君津製作所(千葉県君津市)に設けます。溶液で吸収したCO2を分離のに加熱が必要になりますが、その熱をスラグから回収した熱を利用するのだそうです。

 上記2社に住友金属工業、神戸製鋼所、日新製鋼を加えた高炉5社は、それぞれ鉄鉱石中の酸素分を除去するための実験設備を研究所内に設けます。現在はコークスの炭素分を酸素と反応させて取り除いていますが、コークスの一部を水素に切り替えることで大幅のCO2を削減しようという試みを実験するそうです。高炉での水素の活用やCO2吸収、廃熱利用などを組み合わせてCO2排出量を30%削減できる製造方法を確立させたいとしています。

 鉄鋼業界は全産業の中でCO2排出量が最も多い業界ですから、こうした取組みは効果が大きいと思われます。今後の研究に期待したいものです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

用途広がる光触媒

 今朝の日経新聞に、「光触媒 室内向け製品化-内装材・家電などに用途広げる」という記事が掲載されていました。

 素材メーカーが、室内でも使える光触媒を相次いで製品化するそうです。昭和タイタニウムがパナソニック電工、東京大学と共同して室内向けの光触媒の量産技術を確立した件は既にこのブログでもご紹介しました。パナソニック電工の実装住宅で実証実験を始めており、2012年に実用化するそうです。それに続いて、いくつかの企業が製品化をしています。

 住友化学は北海道大学の阿部竜准教授と共同で、蛍光灯やLEDなどの室内光でも機能する光触媒を開発しています。酸化タングステンに白金を乗せた素材で、従来の1/10の100-200ルックスでも機能するそうです。9月にもサンプル出荷を始めるといいます。

 東芝マテリアルは、室内でも有害ガスなどを分解できる光触媒を開発しました。塗料メーカー100社以上にサンプル提供を始め、早ければ2009年中にも製品化するとしています。ハウスダストの原因となるアセトアルデヒドなどの分解性能は室内照明で従来の30倍以上、大腸菌を対象とした抗菌作用は50倍以上になるといいます。

 室内でも様々な効果があるとすれば、内装だけでなく家電や家具にも塗布されるようになり、用途拡大とともに市場規模も拡大しそうですね。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は室内向けに用途は広がれば2020年代には約3兆円の市場に成長すると試算しているそうです。

にほんブログ村 環境ブログへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

CO2から汎用樹脂用の触媒開発

 昨日の日経新聞に、「CO2から汎用樹脂-岡山大が触媒開発」という記事が掲載されていました。

 岡山大学の酒井貴志教授らは、工場が排出するCO2と安価なエポキシから、DVDなどに使う汎用樹脂の原料を合成する触媒を開発したそうです。開発した触媒は「環状炭酸エステル」という樹脂原料を合成します。環状炭酸エステルはDVDの素材であるポリカーボネート樹脂やリチウムイオン電池の電解液などに広く使われるそうです。

 繰り返し反応させても触媒が劣化しないそうで、合成した環状炭酸エステルの2~3割(重量比)はCO2由来の炭素や酸素が占めるため、CO2を有効に利用できるといいます。

 CO2を利用した樹脂の開発は、以前にもこのブログで取り上げました。これとは別の方式ですね。厄介者のCO2をいかに利用するか、今後もこの種の研究開発には注目していきたいですね。

にほんブログ村 環境ブログへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

繊維大手、エコ素材で海外市場開拓

 今朝の日経新聞に、「繊維大手、エコ素材で海外開拓」という記事が掲載されていました。

 帝人は2010年にもタイのバンコクで再生ポリエステル繊維の生産を始めるそうです。日本国内で回収した制服やスーツなどの古着を愛媛県の松山事業所でポリエステル原料に戻し、一部をタイに運んで低コストで糸に再生するそうです。分子レベルまで細かく処理した再生素材の品質は新品と変わらないといいます。

 クラボウはデニム工場で出る端材を回収し、原綿に混ぜて加工し直した生地「アースデニム」を今春から岡山県で本格生産しており、国内のほか欧州や米国向けに出荷を始めたそうです。染色済みの端材を再度染めることで、色に変化や深みを持たせることもできるそうです。

 ニッケは天然素材のウールに再生ポリエステル繊維や生分解性ポリエステル繊維を混ぜた生地の欧米での販売を開始したそうです。

 ダイワボウも王子製紙と共同開発した紙製の糸「オージョ」を欧州で拡販するそうです。麻が原料で軽く、水にも強い繊維として市場に訴求していきたいとのことです。

 廃棄物を利用した再生素材というのは大手に限らず、中小企業でも狙えるビジネスではないでしょうか。自社の工場や店舗等で日常的に廃棄されているものや自社製品の使用後の廃棄に目をつけ、何か利用する手はないものか、知恵を絞ることによって新たな市場を開拓できるのではないでしょうか。廃棄処分にお金をかけるくらいなら再生にお金をかけた方がいいですよね。

にほんブログ村 環境ブログへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)