食と農業

LED照明を使う植物工場

 昨日の日経新聞朝刊に、「日本GEが植物工場-LEDでレタス栽培」という記事が掲載されていました。

 宮城県多賀城市で、日本GEがLED照明や温度センサーなどの設備を手がけ、植物工場専門のベンチャー企業、みらい(千葉県松戸市)が工場を運営する計画だそうです。東日本大震災で生産を縮小したソニー仙台テクノロジーセンター内に工場を設けるとしています。今夏をめどにレタスの栽培を始め、その後バジルや水菜などの生産も始める予定だといいます。

 植物工場は天候に左右されず、安定して植物の生産ができることや、無農薬栽培が可能なこと、少ないスペースで生産できること、水耕栽培だと土壌環境に影響されないこと、など多くのメリットがあります。しかし、初期投資が大きいことや、エネルギー使用量が大きくなることなどからコスト高となることがデメリットとされています。露地栽培でできた野菜と競争するとなると、価格もそう高くできず、利益を出すのがなかなか難しいという課題があります。

 植物工場で利益を出すためには、①省エネ等によりランニングコストを下げていく、②生産性を高め、栽培回転率を上げて、収穫量を増やす、③植物工場でしかできない安全・安心・高付加価値の植物を栽培する、などの対策が必要です。

 多くの大学や研究機関で植物工場の研究がされていますし、本記事のように、企業の参入も増えてきました。まだまだ採算のとれている企業は少ないようですが、上記3つの視点で改善がなされていくことを期待したいです。

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微生物を活用した無農薬農業

 昨日(11/1)、NHKクローズアップ現代にて、「微生物とつながる農業」という番組が放送されました。

 「エンドファイト」と呼ばれる植物の体内に入り込む微生物は、植物の成長を早めたり、病気や虫から植物を守る効果があるそうです。「奇跡のリンゴ」で知られる木村秋則さんの無肥料、無農薬の自然栽培のリンゴの木を調査すると、たくさんの微生物がいることも紹介されていました。

 これまでは農薬で微生物を殺して植物を育てていたのですが、微生物と共生することで植物が育つというわけです。兵庫県豊岡市の「コウノトリ育む農業」でも実践されていますように、自然界には害虫もいますが、それを食べる益虫もいる。自然の生態系の中で多様な生物がバランスよく生息することで植物も育つというのは理に適った方法かもしれません。

 エンドファイトに着目し、研究している企業もあります。㈱前川製作所。グループ会社が経営するゴルフ場の芝生に撒く農薬を減らしたいと考えたことがキッカケだったそうです。

 ただ、エンドファイトが寄生している牧草を牛や馬が中毒を起こすという報告もされています。良い面だけでなく懸念材料についても研究がされて、うまく農業に活かされることを期待したいです。

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「エコファーマー現地研究会in奈良」に参加

 昨日(10/8)は、「エコファーマー現地研究会in奈良」に参加してきました。エコファーマーというのは、農林水産省が推進している事業で、持続性の高い農業生産方式導入計画を策定し、都道府県知事に認められた農業者のことです。「土作り」、「化学肥料低減」、「化学農薬低減」の3つを一体的に取り組むものとされています。現在、販売農家170万戸に対して約20万人が認定を受けています。多めに見て農家の約1/10が認定を受けていることになります。

 約45名の方が参加されました。学生からお年寄りまで幅広い年齢層の方が集まり、環境・健康に配慮した農業への関心の高さがうかがえました。奈良県宇陀市伊那佐文化センターでエコファーマーの概要説明を受けた後、2つの農場(山口農園類農園)を訪問し、エコ農業や堆肥づくりなどについて現場を見ながら説明を受け、試食や収穫体験もさせていただきました。農業というのは、私達のいのちを守る大事な仕事です。実際に現場を見て応援したくなりました。こういった取り組みが消費者にもっと知れ渡ると、食料の国内自給率アップにもつながるのではないかと思います。

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店舗向けショーケース型植物工場

 一昨日の日経新聞朝刊に、「丸紅が『ミニ植物工場』-冷蔵庫サイズ、飲食店など向け」という記事が掲載されていました。

 丸紅が、飲食店・小売店向けに、店舗の一角で野菜の栽培ができるショーケース型の「立体植物工場」を製品化したそうです。家庭用の冷凍冷蔵庫程度の大きさで、保水力や肥料を溜め込む力に優れた「ヴェルデナイト」と呼ばれる土壌素材を使っているそうです。従来の水耕栽培式の植物工場に備わっている、大がかりな水の循環路が不要なため、小型化できたといいます。照明のON-OFFスイッチや簡易タイマーもついており、自動で日照管理や温度管理を行うため、店舗スタッフは通常業務を行いながら、効率的に野菜を栽培することができるといいます。販売価格は120万円で、月額3,4000円でレンタルもするそうです。

 植物工場もここまできたかという感じがします。まさに店産店消ですね。そのうち家庭用の植物工場ができるかもしれません。そうなると土地を持たない団地やマンション住まいの家庭でも自宅で野菜栽培ができるという時代が来るかもしれません。冷蔵庫を開けて新鮮な野菜を収穫してすぐ調理するというライフスタイルも実現できるかもしれません。もっとも屋内での野菜栽培というのはちょっと味気ない気もしますが...。

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ランドラッシュ

 2/11(木)にNHKスペシャルで、「ランドラッシュ-世界農地争奪戦」という番組が放送されました。

 世界の人口は現在65億人、それが2050年には93億人に達すると推計されています。異常気象による農作物の不作が世界で相次いだ2年前、農産国が自国の食糧確保のために輸出規制をするということが起こりました。それを機に食糧自給率の低い国や人口増加の著しい国々では、穀物メジャーからの購入だけでは自国の食糧を確保できないとして、海外の未開拓農地を直接確保して農地にしようと動き出しました。各国が熾烈な農地獲得競争に乗り出したというのです。それを「ランドラッシュ」と称しています。

 食糧自給率の低い韓国は国内需要の1/4を賄う農地を海外で確保することを国家戦略として進めています。インドも人口爆発で自国だけでは食糧確保が困難として海外での農地確保に動いています。産油国もオイルマネーにモノを言わせて農地獲得に動いています。アフリカやウクライナ、極東ロシアなどで農地獲得競争が起きています。現地では摩擦も起きています。このような状況で食糧自給率の低い日本はどう対応していけばいいのか、番組は問いかけていました。

 日本の外務省内に食糧安全保障チームが出来て検討を始めましたが、まず自国の食糧自給率を上げる政策が先ではないかという意見もあり、なかなか検討は進んでいないようです。政府が及び腰だと、商社もリスクを背負って積極的に出て行こうとはしません。ただ、日本は、アフリカかなどの飢餓に苦しむ人たちの増大や、土地売買による争い等々を懸念し、各国に呼びかけニューヨークで国際会議を開き、海外の農地確保についての国際的ルール作りを提案しました。日本の提案を軸にルールづくりの検討を進めることに決まりましたが、強引な農地争奪戦を繰り広げている国は欠席しています。

 富める国が貧しい国の土地を買い漁るという構図には疑問を感じます。このまま無秩序に農地争奪戦が繰り広げられていいはずはありません。地球温暖化の進行と伴に、異常気象の頻発、農作物への影響は益々大きくなるでしょう。地球上の全人類が等しく食糧を分かち合える国際的ルールが必要です。ここは日本がリーダーシップを取って国際的ルールをまとめ上げてほしいものです。

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「竹肥料農法-バイケミ農業の実際」

 最近読んだ「竹肥料農法-バイケミ農業の実際」という本を紹介したいと思います。

 この本で紹介している竹を活用した農法は、2千年維持してきた日本の伝統的な有機農法と原理は同じだといいます。一昔前は現在のような農薬を使わずに、落ち葉、作物の茎葉、雑草などを主に「刈敷、敷ワラ」などを利用して行っていました。作物の株元まわりに敷かれ、根を守ります。根を守るために使われた有機物はやがて土に入り土を上からよくしていきます。敷ワラはまた土の流亡を防ぎ、雑草の防止にもなります。土の表面や表層は通気性がよく、この環境で増える微生物が有機物を分解しながら、作物の生育にとって有効な有機酸やアミノ酸、ビタミンなどを生み出します。土の表面や表層で発酵が起こって土の中のミネラルを作物に扱われやすい形に変えます。微生物が出すCO2は作物の光合成を活発にするのにも役立ちます。

 このような日本の伝統的な有機農法の問題点は手間と時間がかかることです。そこで、筆者らは放置された竹を細かく繊維状に分解し、それを農地に撒くことで同じ効果を得られるようにしようと考えたのです。竹はでんぷんの塊ですから、落ち葉などと同じ栄養素を含んでいます。これが筆者らが提唱する「竹肥料」を使ったバイケミ農法です。落ち葉が腐葉土になって植物が吸収しやすい栄養素になるまでには時間がかかりますが、この農法だとそのプロセスが短縮できるというわけです。

 私は昨年、あるセミナーで筆者の一人である高木康之さんの講演を聴きました。生物化学の原理に基づいた農法であることを強調されていました。化学肥料を使わずに、循環する植物の力を生かす農法の原理にはかなりの説得力がありました。筆者らの会社は竹などを繊維状に分解する植繊機を製造販売されています。

 この話を聴いた時、化学肥料や農薬を一切使わずにりんごづくりをされている木村秋則さんの「奇跡のりんご」に通じるものがあるのではないかと思いました。人工的にりんごを育てるのではなく、りんごが本来持っている生命力を引き出し、育ちやすい環境を整える。木村さんのりんごも同じように生物化学の原理に基づいたものではないかと。

 ぜひ読んでいただきたい本です。

 「奇跡のリンゴ」もあわせてお薦めします。

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農業の効率化をITで支援

 今朝の日経新聞に、「農業効率化 ITで支援」という記事が掲載されていました。

 情報システム各社がITを活用した農業支援事業を拡大させているそうです。

 富士通は、農業法人向けの経営管理ソフトを発売しました。農業法人特有の減価償却や配当の制度に対応しているそうです。また、生産履歴管理や土壌分析などのソフトを順次増やしていくとしています。

 日立製作所と子会社の日立ソフトウェアエンジニアリングは共同で、衛星画像から米、大豆など10種類以上の作物の種類と作柄の良し悪しを判別する技術を開発したそうです。画像を利用して農家が同じ畑でも部分的に肥料の量を変えるなど、きめ細かい栽培がやりやすくなるといいます。日立ソフトが出資する米衛星画像大手のデジタルグローブが今年10月に打ち上げる衛星の画像をもとに解析の精度を高め、2年後にも商用化するとしています。

 NECはICタグを利用し、ビニールハウス内の温度や湿度、光の照度を離れた場所から24時間確認できるシステムを発売したそうです。ICタグに搭載したセンサーで測定したデータを送信し、異常値を感知した場合はネットを通じて直ちに生産者に通知するしくみということです。

 現在の農家は過去の経験の記憶に頼って農業をしているのがほとんどだと言われています。せっかくおいしい米ができても、記録がなければ第三者が再現できません。また農業の技術開発には時間がかかります。工業製品のように、1日に5回も6回もトライはできません。しくじれば1年を棒に振ってしまうのです。そう考えれば精密な記録をとってIT化し、そのデータを生かしていくことが大切です。もちろん数値を超える感性、勘も必要ですが、ベースとしてデータを管理することは重要です。農業のIT化を進めることが食糧自給率向上に大いに貢献できるのではないでしょうか。農家の皆さんには、高度なソフトでなくても、まずはEXCELでのデータ管理からでも、ぜひチャレンジしてほしいものです。

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「それでも、世界一うまい米を作る」

 偶然、近くの図書館で見つけた本です。「それでも、世界一うまい米を作る」 何か強い信念を感じるタイトル。そしてサブタイトルは「危機に備える『俺たちの食糧安保』」。単においしい米を作る物語というだけでなく、食糧自給率40%の日本の現状に対してどうすればいいのかを考えさせてくれるのではないかという予感。手に取って読み始めると、ついつい引き込まれていきました。

 福島県須賀川市の 「稲田稲作研究会」 の伊藤俊彦さんの半生を軸に物語風に話は展開していきます。農協にまつわる問題、おいしい米を作るための試行錯誤、中国の恐ろしい農業事情、減反政策のこと、農業経営、など農業や食の安全に関する様々な問題が取り上げられ、多くの示唆を与えてくれました。

 地球温暖化の影響でヒマラヤの氷河が解け始め、中国の水不足が現実のものとなっています。それに工場排水の垂れ流しによる河川の汚染。中国の農業は危機に瀕してします。世界から食糧を買いあさり始めた中国。他人事ではありません。日本に食糧難がやってきても不思議ではありません。食糧難がやってきても耐えられる農業をどうやって再生するのか。「稲田稲作研究会」 の模索にそのヒントがあるように感じました。

 米作りは1年に1回の仕事。30年も米を作っていると言ってもたった30回の経験でしかありません。だから、多くの農家の経験をデータ化して分析する。農業を進化させるにはIT化が不可欠だと伊藤さんは言います。「農業は技術開発に時間がかかります。失敗すれば1年を棒に振ってしまうのです。だからこそ、精密な記録が必要なんです。」と。

 図書館で借りて読んだものの、この本は何か大事なことを私たちに語りかけているよう思い、手元に置いておきたくなり結局購入してしまいました。

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地方の中小企業で「野菜工場」の増産相次ぐ

 今朝の日経新聞に、「『野菜工場』で相次ぎ増産」という記事が掲載されていました。

 コンピュータで成長に合わせて室温や湿度、養液濃度などを自動管理する「野菜工場」を手掛ける地方の中小企業の増産が相次いでいるそうです。

 野菜工場の主な増産の動きとしては以下のものがあります、村上農園(広島市)が発芽野菜を山梨県北杜市に15億円を投じて増産。機械メーカー、河原のグループ会社である日本農園(広島県世羅町)が山梨県にサラダ菜の新工場を10億円投じて建設。フェアリーエンジェル(京都市)が福井県美浜にレタスなどの野菜工場を10億円を投じて新設。スプレッド(京都市)が8億円投じ、レタスなどの工場を増設。もやしでも大手の成田食品(福島県相馬市)がもやしの生産量を1割拡大。サラダコスモ(岐阜県中津川市)がもやしを15%増産、新工場も検討。などです。

 「食の安全」と食料の安定確保を担って国も普及を後押ししはじめています。農林水産省と経済産業省は2011年度末までに野菜工場を現在の3倍に増やす目標値を打ち出し、参入を目指す企業に対し建設費などを補助するといいます。

 野菜工場は現在、国内に約55ヵ所あり、大半が地方の中小企業です。地方の中小企業が開拓し育ててきた市場が急速に拡大し、大手企業も注目し始めています。野菜工場は養分などの使用状況を厳密に管理できることから、無農薬栽培にも対応できるといいます。IT、LED照明、環境技術などを活用した新たな農業のスタイルが今後普及する可能性があります。中小企業にとって農業分野は新たなビジネスチャンスになりそうですね。

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LED照明で野菜工場

 今朝の日経新聞に、「技あり中堅・中小企業-LED照明で野菜工場」という記事が掲載されていました。

 京都にシーシーエス(CCS)というLEDを使った照明装置の専業メーカーがあります。この会社は、個々の検査対象や目的に応じ照明をカスタマイズする独自の事業モデルで半導体製造や自動車、食品、薬品など広範囲の業界で顧客を開拓してきました。今では製品検査の撮影機用LEDで国内トップメーカーです。CCSは製造現場での実績を生かし、LED照明を使った野菜工場を造る新規事業に力を入れているそうです。

 CCSは2008年12月に野菜の生産工場を運営するフェアリーエンジェル(京都市)を連結子会社化しました。蛍光灯の代わりに、耐久性が高いうえに熱も出ないLED照明に切り替え、野菜を屋内で効率的に栽培できるプラントを作りました。

 LEDそのものの開発は大手電気メーカーの領域かもしれませんが、LEDの用途開発や特定の用途に特化した製品開発、あるいはその販売事業という分野には中堅・中小企業が展開できるビジネスが多く眠っているように思います。これまで本業で取引している店舗や工場、事業所にLEDによる省エネを提案するのもいいでしょう。石油が高騰していた時期にLED照明による漁船の話題がニュースになっていましたが、今回の農業分野での用途開発もなかなかおもしろいですね。一次産業には環境ビジネスのネタが多く存在すると思われます。工業分野で培われた技術やノウハウを一次産業に応用する新たなビジネスの登場にこれからも注目していきたいものです。

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