環境とIT

電力ルーターで電源を製品ごとに使い分け

 今朝の日経新聞に、「電源、製品ごとに使い分け」という記事が掲載されていました。

 京都大学と住友電工のチームが、電力会社からの供給電源と、太陽電池などの自家発電や蓄電池などからの電源を、住宅や事業所内で使い分ける技術を開発したというのです。新技術は電力ごとに安定性などの質を色分けし、特徴に合わせた使い分けを実現するのです。たとえば、安定した電力が必要な医療機器や空調機器には電力会社の供給電力を使い、天候で発電量が変動する太陽電池にはパソコンや蓄電池の充電などに使うといったイメージです。

 通信網では情報を送信先へ交通整理する装置に「ルーター」がありますが、電力網では「電力ルーター」と呼ぶ装置で交通整理を行うのだそうです。家電製品などにそれぞれ送り先を示す信号を付けて送信するのです。今回の実験では、電源と電化製品に見立てた装置を2つずつ電力ルーターとつなぎ、送信先の切り替えができることを確認したそうです。高速切り替えに最適な炭化ケイ素製半導体も開発済みだそうです。

 電力ルーター同士は通信機能があり、複数台を組み合わせれば、どこから供給された電力かを見極め、電力の安定性に合わせて供給先の電化製品を選べるということになります。

 効率よく最適な電源を使えるしくみは節電にも大きな効果を発揮しそうです。このブログで以前に「エネルギーの情報化」という記事を書きました。目に見えないエネルギーにITで色を付けコントロールするという考え方です。この考え方を現実のものにするための実験が今回の取り組みということなのでしょう。いよいよ以前ITの世界で起こった集中から分散へのパラダイムシフトがエネルギーの世界でも起こる、そんな予感がします。

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電流使わず情報処理

 昨日の日経新聞朝刊に、「新原理のトランジスタ-電流使わず情報処理」という記事が掲載されていました。

 日立製作所など日米英チェコの共同チームが、電流を流さなくても情報を処理できる新原理のトランジスタを試作したそうです。一般の電子素子は信号を送るのに電流を使いますが、電気抵抗があり、エネルギーを消費します。今回の試作では、電流の代わりに電子の磁石としての性質「スピン流」というものを伝えることで、情報を伝えることに成功したといいます。

 スピン流の電子機器への利用は、「スピントロニクス」として国内外で注目される先端技術だそうです。ITによって社会の省エネが進む一方で、ネットワークを流れる情報量が爆発的に増え、データセンターを始め、IT機器自身の省エネが大きな課題となっています。そうした中、情報伝達でほとんどエネルギーを使用しないとなると、社会全体で非常に大きなエネルギー削減となり、益々ITの活用が重要になってきそうですね。実用化を期待したいです。

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情報をエネルギーに変換

 12/5の日経新聞朝刊に、「情報をエネルギーに-中大・東大が実験成功」という記事が掲載されていました。

 プラスチックの粒子が周囲の熱で不規則に運動する様子を観測し、観測で得られた情報に応じて電場の状態を瞬時に切り替えることで、粒子にエネルギーを与えることができたそうです。この結果は、温度差がないところからエネルギーは取り出せないとする「熱力学第2法則」に一見反するように見えますが、情報処理に必要なエネルギーを考慮に入れれば矛盾は起きないことが確認できたことになるというのです。詳しくは11/11に開催された中央大学の記者会見の際の資料が参考になります。

 情報処理に使用するエネルギーが物理的な装置などのエネルギーに変換できて、装置を駆動できるということになると思うのですが、これってかなりすごいことのように感じます。ITによって非常に効率的な仕事ができて、エネルギー消費が極端に削減できるのではないかと期待してしまいます。この成果が目に見える形の効果につながることを期待したいです。

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生物多様性保護をITで

 今朝の日経新聞に、「IT水田」にトキを」という記事が掲載されていました。

 NECとNPO法人「アサザ基金」は、茨城県石岡市で2004年に約4000㎡の田んぼを再生したそうです。もともと荒地だった場所で、年間約2000本の日本酒を醸造できる酒米を育てたうえ、ニホンアカガエルの産卵場所になったとのことです。

 NECの田んぼづくりの狙いは、社員の環境意識の向上と、ITを活用した田んぼづくりの研究だそうです。田んぼの端ではNECが開発した温度や湿度、日射量を10分ごとに測定するシステムが試験運用されています。害虫の大量発生の予測や生態系の調査に役立てるといいます。

 農業へのIT活用は以前にもこのブログで紹介しましたが、年に1回の収穫でしか経験できない田んぼづくりだからこそ、勘に頼る田んぼづくりから科学的な分析に基づく田んぼづくりが重要なのかもしれません。それに加えて田んぼが生物多様性の保護に重要な役割を果たすとなれば、環境保全へのIT活用の事例ともなります。ひょっとすると古来の田んぼづくりの有効性を科学的に証明できるのかもしれません。このプロジェクトの成果に期待したいものです。

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タクシー、ネットで予約CO2削減にもつながりそう

 昨日の日経新聞に、「お得なタクシー、ネットで予約」という記事が掲載されていました。

 タクシー料金の節約につながるサイトの利用者が増えているそうです。携帯サイトの「らくらくタクシー」では、乗車の30分前までに携帯サイトから出発地と到着地を入力すると、自動的に運賃と所要時間が算出されタクシーの予約ができるそうです。渋滞でも加算されないため通常のメーター料金より安くなることが多いといいます。

 相乗り相手を探す会員制サイト「タクトモ.com」では、出発地、目的地と出発日時を入力すると、よく使う出発・目的地として、近い地域を登録している会員向けに相乗り募集のメールが送られてくるそうです。あとは当人同士がメールなどで連絡を取り合い、集合場所や料金の負担方法などを決める仕組みだそうです。タクシー代が安くなる以外に、車内で名刺交換をすることで人脈が広がるという効果もあるといいます。近所に住む人が同乗者なら会話も弾みそうですね。異性との乗合いはできないため、女性でも利用しやすいようです。

 帰りが遅くなって終バスに乗り遅れた時などにタクシーを利用することがありますが、同じ方向に向かって帰るのに皆さん一人ひとり別のタクシーに乗ることがよくあります。乗り合わせたら支払いも安くなるし、CO2削減にもつながると思いつつなかなか声をかけることができませんね。「タクトモ.com」のように会員制で乗り合わせるならそういう遠慮もなくなるので気軽に利用できそうですね。物流の世界では最近、共同・混載輸送が増えています。多頻度小口配送のニーズを満たし、CO2削減とコスト削減をも狙う方法として有効です。人の移動も同じかもしれませんね。

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スマートグリッド標準化の動き

 今朝の日経新聞に、「次世代送電網の研究加速」という記事が掲載されていました。

 スマートグリッド(賢い送電網)とは、ITを活用して供給者と需要者の間で双方向通信を行う、次世代の電力ネットワークのことです。太陽光・風力発電等で得た電力を地域内で融通して、家庭の電力使用量も制御して省エネを実現します。

 スマートグリッドを実現するためには様々な技術が必要になります。たとえば、低価格の太陽光発電、送電ロスの少ない電線、電力の出力を安定する大容量蓄電池、通信機能付き電力計(スマートメーター)、送電網全体を見渡して太陽光発電などの出力や蓄電池の充放電などを遠隔地から指示する情報技術(IT)などがあります。

 当日経新聞の記事では、日立製作所が大型蓄電池の寿命を従来の7年半から10年に延ばしたことや、三菱電機が安定して電気を供給する送電網の技術を開発したことが紹介されています。さらに様々な技術を組み合わせて構築することになるため、機器同士をつなく標準規格などの技術標準化戦略も重要になり、世界市場で優位に立つためには日本は積極的に標準化提案をしていくことが重要としています。

 経済産業省は1/28に、「次世代エネルギーシステムに係る国際標準化に向けて」という国際標準化に向けてのロードマップをまとめ、公表しました。この中で、「想定される事業シーンを基に将来の社会の姿(グランドデザイン)を作成し、そのグランドデザインの達成に必要な課題として要素技術や関連技術等を分解しつつ、日本が優位にあるものを中心に、戦略的な研究開発、国際標準化、差別化の手段としての検証スキームの活用、実証事業、海外市場への展開をバックキャストとして検討していくことが重要である。」と述べられています。

 現在のビジネスモデルで成功を収めている大企業にとっては、そのビジネスモデルを壊すような行動に出るのはなかなか難しいかもしれません。その意味で中小企業にもこの社会インフラを大きく変えるスマートグリッドの波に乗れるチャンスはあるのではないでしょうか。大局的の全体像や今後のロードマップを見て自社の強みを活かせる分野を探り、従来の延長ではない新たなイノベーションにチャレンジすることで、活路を見出すことが重要だと思います。地域のコミュニティと連携して小さなコミュニティの中でトライアルし技術を磨くことも一つの方法でしょう。ここはベンチャーや中小企業にもがんばってもらいたいものです。

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エネルギーの情報化

 12/11に開催された「関西低炭素・エネルギー産業創造懇話会キックオフセミナー」に出席しました。ここで、京都大学大学院情報学研究科の松山隆司教授の「エネルギーの情報化」という講演を聴きました。

 情報通信の世界では、30年位の間にメインフレーム中心の集中型ネットワークからインターネットを中心とした分散型ネットワークに変わりました。それと同じようにエネルギーの世界も集中型から分散型に変わるといいます。今は電力会社から電気を供給する集中型ネットワークです。それが各家庭が太陽光発電などで電力を作り、地域から徐々に広域に分散型ネットワークを作るというわけです。

 今各家庭に供給されている電力は火力発電は何%でどこから届いたものなのか、原子力発電は何%でどこから届いたものなのかということがわかりません。リアルの世界では電力に色を付けることは不可能ですが、バーチャルの世界(コンピュータの中)で電力を識別し色を付けるといいます。おもしろいですね。

 もう少し実態的な話で言うと、第一ステップでは家庭にある全ての家電製品にスマート・タップと呼ばれるセンサーを取り付けます。スマート・タップはその家電製品の消費電力を時々刻々とコントローラーに送り届けます。住人がどのように家電製品を使っているかがモニタリングできることになります。第二ステップでは家庭内の電力の需給状態を基に調整を行い、各家電製品に利用可能な電力使用量や時間を割り当て、利用可能量をオーバーすると自動的に電力供給を止めたり、低減したりといった制御を行うということです。これを「エネルギーオンデマンド」と呼ぶそうです。上限値を設定すればいやおうなしに省エネは進みます。第三ステップでは、各家庭に配置された発電装置や蓄電装置を利用してトータルな電力マネジメントシステムを構築することになります。電気自動車に搭載されている電池ともつながります。電力会社からの供給と自家発電をバランスよくマネジメントすることになります。「家庭内ナノ・グリッド」と呼ぶそうです。そして、第四ステップでは、地域内の家庭間をネットワークで結び、個々の電力マネジメントを統合して、相互に電力のやり取りを可能にする地域エネルギーマネジメントシステムを構築するということです。「地域ナノ・グリッド」と呼ぶそうです。こういう形で分散型エネルギーネットワークシステムを構築していくのだそうです。さらに言えば、電力だけでなく、熱も含めたオンデマンド型総合エネルギーマネジメントシステムを構築したいという目標を掲げているそうです。光エネルギー、電気エネルギー、熱エネルギー、化学エネルギー、運動エネルギーなど、多様な形態のエネルギーを総合的にマネジメントし、超省エネ機能を実現しようというわけです。エネルギーを仮想空間(情報系)の中でモデル化し、コントロールする。モデル化が出来れば様々な予測もできるようになります。それが「エネルギーの情報化」の意味と理解しました。

 情報通信の世界で経験したパラダイムシフトをエネルギーの世界でもこれから経験することになるかもしれません。

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農業の効率化をITで支援

 今朝の日経新聞に、「農業効率化 ITで支援」という記事が掲載されていました。

 情報システム各社がITを活用した農業支援事業を拡大させているそうです。

 富士通は、農業法人向けの経営管理ソフトを発売しました。農業法人特有の減価償却や配当の制度に対応しているそうです。また、生産履歴管理や土壌分析などのソフトを順次増やしていくとしています。

 日立製作所と子会社の日立ソフトウェアエンジニアリングは共同で、衛星画像から米、大豆など10種類以上の作物の種類と作柄の良し悪しを判別する技術を開発したそうです。画像を利用して農家が同じ畑でも部分的に肥料の量を変えるなど、きめ細かい栽培がやりやすくなるといいます。日立ソフトが出資する米衛星画像大手のデジタルグローブが今年10月に打ち上げる衛星の画像をもとに解析の精度を高め、2年後にも商用化するとしています。

 NECはICタグを利用し、ビニールハウス内の温度や湿度、光の照度を離れた場所から24時間確認できるシステムを発売したそうです。ICタグに搭載したセンサーで測定したデータを送信し、異常値を感知した場合はネットを通じて直ちに生産者に通知するしくみということです。

 現在の農家は過去の経験の記憶に頼って農業をしているのがほとんどだと言われています。せっかくおいしい米ができても、記録がなければ第三者が再現できません。また農業の技術開発には時間がかかります。工業製品のように、1日に5回も6回もトライはできません。しくじれば1年を棒に振ってしまうのです。そう考えれば精密な記録をとってIT化し、そのデータを生かしていくことが大切です。もちろん数値を超える感性、勘も必要ですが、ベースとしてデータを管理することは重要です。農業のIT化を進めることが食糧自給率向上に大いに貢献できるのではないでしょうか。農家の皆さんには、高度なソフトでなくても、まずはEXCELでのデータ管理からでも、ぜひチャレンジしてほしいものです。

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ITで省エネ運転支援

 今朝の日経新聞に「日本ユニシス 省エネ運転、ITで支援」という記事が掲載されていました。

 専用の車載器には200万画素のカメラやGPS、「揺れ」を感知するセンサーなどを搭載し、急発進や急カーブなどを検知し、走行状況を動画で記録。車載器から送られた情報は日本ユニシスのデーターセンターにリアルタイムで送信。急ブレーキや急停車など事故につながりかねない運転をした場合は、すぐに顧客企業の管理者へ状況をメール送信するそうです。日本ユニシスは年間の燃料費を大型トラック1台当たり約8%、金額で20万~40万円程度削減できると試算しています。省エネ対応に加えて安全運転を促すことで、事故対応コストの削減にもつながるとしています。

 管理者にメール送信もいいですが、その場で運転手に警告を発する仕掛けも追加できるといいでしょうね。物流におけるIT活用は環境対応とコスト削減を同時に実現できることから、これからさらに発展しそうですね。

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日本でもスマートグリッドが動き出す

 今朝の日経新聞に、「次世代送電網相次ぎ実験-スマートグリッド」という記事が掲載されていました。

 ITを使って電力供給を最適に制御する次世代送電網「スマートグリッド」の技術開発が日本でも行われようとしています。スマートグリッドはITを活用し、電力の流れを供給側、需要側の双方から自動調整するものです。風力や太陽光などの自然エネルギーは出力が不安定なので、安定した電力供給に課題があります。しかし、各家庭に太陽光発電や電気自動車が普及してくると、それを送電網でネットワーク化し、電気自動車のバッテリーを蓄電池代わりに使用し、さらにITできめ細かく制御することで安定した電力供給が出来るのではないかという発想で検討されています。

 大阪府堺市はシャープや関西電力、蓄電池開発会社のエリーパワー(東京都千代田区)などと協力して2010年度にもスマートグリッドの実証実験を実施するとしています。太陽光発電システムを設置した堺市内の住宅をインターネットで結び、電力を一元管理します。家庭で余った太陽光発電の電力を同市内の次世代型路面電車(LRT)などに供給する計画だそうです。

 東京電力や日立、東工大などは2010年度から東工大キャンパスと電力中央研究所で実証実験を始めるそうです。ユーザー側に計測器を取り付け、電力需要をきめ細かく管理し、送電網には蓄電池を組み込み、自然エネルギーで発電した電力を蓄えます。実験では需要が急に落ちた場合は太陽光や風力発電の出力を落としたり、需要が急増すれば蓄電池から放電したりとシステム全体を制御し、CO2排出削減と電力品質向上の両立を目指すとしています。

 各家庭に分散した小さな自然エネルギーの発電所と蓄電池がネットワークでつながり、町全体、地域全体、国全体があたかも一つの大きな発電所と蓄電池のような形になり、余ったところから足らないところに電力をきめ細かく供給するという発想はなかなか面白いですね。スマートグリッドの実用化には多様な関連機器が必要となり、雇用創出効果も見込めると言われています。アメリカも「グリーン・ニューディール政策」の柱の一つに位置づけています。中小企業も関連機器の製造販売に食い込めるチャンスがあるのではないでしょうか。こうした動きをウォッチしておくことが重要です。

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