EUの環境規制

業種の枠超え化学物質の情報共有

 今朝の日経新聞に、「業種の枠超え情報共有-日立、NECなど来年4月一元管理 EU規制に対応」という記事が掲載されていました。

 素材や部品、完成品メーカーなど258の企業・団体で構成するアーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)は製品に含まれる化学物質の情報を取引企業間で共有できるシステムを来春までに構築するといいます。これは今年6月に予備登録が始まったEUの化学物質規制「REACH規制」に対応するもので、国内産業界が業種の枠を超えて情報基盤を統一し、REACH規制に関する作業を大幅に削減することを狙いとしています。

 参加企業や団体は、各社が管理している製品含有化学物質の名前や安全性などの情報を同じ書式や基準でシステムに登録します。完成品メーカーはネットで検索すれば、必要な情報を一度で集められるようになるといいます。JAMP発起人の一人である松下電器は約9000社の部品や部材の調達先に参加を求める方針です。化学物質の情報管理を徹底すると同時に作業の効率化に結びつけるといいます。海外で部品調達する企業も多いことから、タイとマレーシアで今年度中にもシステム共通化の実証実験に取り組む計画だそうです。

 システムが出来たからといってREACH規制に対応するのは容易でないことは想像に難くありません。電子機器などでは部品点数が1万を超える製品も決して珍しくはありません。数多くの枝に分かれるサプライチェーンの中で、すべての情報が寸断なく流れる確率は極めて低いのではないでしょうか。川上の情報で足りない情報があっても情報伝達を止めないことが重要です。SVHC(高懸念物質)は顧客や消費者まで含有情報も開示が義務づけられていますので、SVHCだけでも伝達するようにしなければなりません。中小企業や海外のサプライヤーを含めて関連する全ての企業の理解が必要になります。システムと合わせてしっかりとしたルールを作ることが大切になると思われます。

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欧州の化学物質規制REACH (2)

 今朝の日経新聞に、昨日に引き続き、「欧州の化学物質規制」についての記事が掲載されていました。今回の副題は「取引企業と情報共有」です。

 日本の完成品メーカーがEU域内で製品を販売する際、製品に有害性が高い化学物質が一定以上含まれていることが判明した場合、まずその物質が欧州化学物質庁に登録済みかどうかを確認する必要があります。もし未登録であれば、完成品メーカーはそれぞれの用途に応じてリスクを自ら評価し、現地の販売会社か代理人を通じて登録することになります。

 完成品にどんな化学物質が含まれているかを把握するために、REACH規則は素材、部品、完成品のそれぞれのメーカーにサプライチェーンでの管理を求めています。すなわち、素材メーカーは取引先の部品メーカーに、部品メーカーは完成品メーカーに化学物質の登録の有無や安全性データなどを報告する義務を負います。逆に完成品は部品、部品は素材へと化学物質の用途や使用量などを伝えなければなりません。

 情報交換を円滑に進めるために、旭化成、村田製作所、松下電器産業など230社強の企業がアーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)を組織し、化学物質情報の管理や開示で共通の仕組み作りを進めています。韓国のサムスン電子やLG電子も参加しています。登録はそれぞれの企業が物質毎に実施しますが、EUは同じ物質を扱う企業間でデータの共有を求めています。データを持たない企業はすでに保有する企業から有償で情報提供を受けることになります。

 JAMPはルール作りと合わせて共通の情報基盤の構築を進めていますので、各企業は自社の化学物質管理システムとJAMPの情報基盤とを連携し、情報提供と情報収集をすることになると思われます。自社に管理システムを持たない中小企業へのサポート機能の準備も進められていると聞きます。つまり総力戦で対応しないとREACH規制への対応は困難ということです。さらにサプライチェーンもグローバルに広がってきていますから、海外のサプライヤーや素材メーカーとの情報共有も必要になりますね。

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欧州の化学物質規制REACH (1)

 今朝の日経新聞に、「欧州の化学物質規制-企業に安全性評価義務」という記事が掲載されていました。

 自動車、家電、雑貨など工業製品に含まれる化学物質は、現在あるだけで3万種類に及ぶと言われています。その化学物質が健康や環境に与えるリスクを企業に登録させるのがEUの化学物質規制「REACH規制」です。6月から予備登録がスタートし、本格的な運用が開始されます。

 企業はEU域内で製造・販売する年間1トン以上の化学物質について、安全性を評価し欧州化学物質庁に登録しなければなりません。加工品に含まれる物質も対象で、完成品メーカーも対応が求められます。新規物質や特定物質だけでなく、たとえばにおい付きの消しゴムのにおいの成分も登録が必要になります。登録しないと出荷停止処分などを受ける可能性があります。すでに広く使われている物質も登録対象というわけです。

 欧州の生産・販売法人に登録義務があるほか、日本国内やアジアの工場でも製品が欧州に輸出される場合は、実質的にREACH対応が求められます。予備登録の受付期間は6/1から12/1までの6ヶ月間です。予備登録していないと12月以降、データを添えて本登録を済ませないと取り扱いができなくなります。

 これまではEUの化学物質規制にはRoHS指令というのがありました。RoHS指令の場合は水銀、鉛、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニール、ポリ臭化ジフェニルエーテルの6物質のみが規制の対象で、6物質の使用を禁止、制限していました。REACHの場合は化学物質すべてが対象で、使用する場合はそのデータを提出するという形になります。法律的な位置づけはREACHの方が上位になります。RoHSの場合は成形品の含有化学物質情報だけが注目されていましたが、REACHでは最上流の化学原料メーカーから最下流の完成品メーカーまで、相互に情報を伝達する仕組みが必要になります。もはや1企業だけでは大手といえども対応は不可能です。業界を越えて化学物質含有情報を共有するしくみ、情報基盤が必要になります。

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EUの温暖化包括対策案

 今朝の日経新聞によると、EUは1/23に地球温暖化に対する包括的な対策案をまとめたとのことです。

 包括対策の柱は排出権取引制度の改革です。企業が温暖化ガスを排出できる上限枠の無償割り当てを2013年から変更し、排出枠を公開入札で事業所に有償で売却する「オークション方式」に段階的に移行します。排出権取引の前提である排出枠の設定から企業に削減努力を迫る格好になります。航空機なども対象に組み入れ、排出権取引制度を使って幅広い産業分野で温暖化ガスの削減を進めるといいます。新方式で省エネが進んだ企業は相対的に有利になりますが、全体では企業は大量の排出枠を購入せざるを得なくなります。また、2013年から全面的に新方式になる発電所などの価格転嫁も予想され、電力料金を通じた消費者の負担も増すと見られます。風力や太陽光などの再生可能エネルギーの利用拡大や、CO2の地中貯留技術などの技術開発を推進することもEUの狙いです。バイオ燃料については植物以外の原料による生産という規制の導入も盛り込まれています。重い負担を強いられる企業の反発は大きく、競争力低下や雇用悪化への不安が、国際的な「環境圧力」となって日米やアジアに振り向けられるシナリオも予想されます。

 環境対策では、EUが常に先を走っており、世界の先導役を果たしているように思います。今回の包括対策案も、日本を含めた世界の温暖化対策にも大きな影響を与えそうです。

 

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EU、自動車CO2削減規制案

 今日の日経新聞夕刊によると、EUが日米欧韓などの自動車メーカーを対象としたCO2排出規制案を発表したとのことです。

 CO2の排出規制は、EU市場で販売される新車の平均排出量が対象。2012年を達成期限に業界全体で1km走行あたり130g(現行は163g)の数値目標(現行比で平均20%削減)を定めたうえで、各社に重量別に削減目標を割り当てます。2012年までに削減目標を達成できない自動車メーカーには制裁金が科されます。制裁金の詳細はなお調整中ですが、新車1台の排出超過分について1gあたりで最大95ユーロ(約15,000円)という案だ浮かんでいます。また、自動車業界内で排出量の過不足を取引する制度を認め、EU市場の年間販売台数が1万台を下回るメーカーは適用除外とする方針です。

 日本の新燃費規制(2015年度まで)はEU基準に換算すると、1km走行あたりで約135gに相当します。EUは2012年までにこれよりさらに低い130gへの削減を求めており、日本車も省エネルギー型のエンジン開発や軽量な車体への改良などを早急に進めて対応することになります。

 自動車メーカーはグローバルに輸出しているわけですから、化学物質規制(RoHSやREACH)と同じで、結局EUの規制が世界標準になってしまうように思います。しかし日本の自動車メーカーの省エネ技術は世界に先行していますから、EUの規制をマイナスにとらえず、より先行して対応することにより、優位性を確保できるような気がします。

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EuP指令への対応

 今日のフジサンケイ・ビジネスアイに「日立 設計に欧州環境基準 来年4月から本格運用」という記事が掲載されていました。

 日立製作所は欧州連合(EU)が2009年ごろから施行する、省エネルギーなど環境に配慮した製品設計を義務付ける規制「EuP指令」に対応する指針を策定しました。この指針は環境配慮設計に必要な手順や文書化を企画、設計、調達、製造など各工程に求めています。対象となる家電製品に加え、対象外の医療機器や重電部門にも導入し、2010年までに全製品を同指令対応にする予定だそうです。

 EuP指令というのは、製品のライフサイクル全体にわたる環境影響を評価することを義務づけるEUの指令で、輸送機器を除く、エネルギー使用機器で、以下の3点を満たす機器が対象となります。
①年間販売台数がEU域内で相当数に上る(目安は20万台以上)
②環境に影響があること
③大きなコスト負担をかけることなく環境に対する影響を改善できること
たとえば、家電、OA機器、照明機器、暖房器具などが規制対象となります。

 メーカーはEuP指令による設計要求を満たす必要がある上、環境マネジメントシステムを導入し、適合性評価を行って適合宣言書を作成し、CEマークを添付した上で上市しなければなりません。 同指令に違反すると製品回収など厳しい措置が見込まれています。

 日立製作所は規制に先んじることで対応製品をいち早く開発、発売し、需要を取り込むことを狙っています。それにしてもEUの環境規制はとどまることを知りませんね。日本企業はこれに振り回されている感がありますが、後からやむなく対応するのではなく先手を打って対応することで、市場に対する優位性を発揮することが重要となります。日立さんが一歩先に出たということでしょうか。

 EuPがみえてくると、これまでどちらかというと環境科学のテーマであったLCA(ライフサイクルアセスメント)が重要な経営課題に上がってきます。LCAの定量的分析はまだまだ研究段階のところがあります。EuP指令がどこまで要求してくるのか気になるところです。

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