環境会計

不況の時こそMFCAで環境対策を

 今朝の日経新聞に、「金融危機でも対策加速を-温暖化防止 条約締約国会議が開幕」という記事が掲載されていました。

 第14回国連気候変動枠組み条約国会議(COP14)は12/1、開幕しました。会議は冒頭、昨年末のCOP13を主催したインドネシアのウィトゥラル環境相が「金融危機でも交渉は結実しなければならない」と宣言して開幕しました。各国から「金融危機を乗り越え、温暖化対策を加速すべきだ」とか「経済成長と温暖化対策の相乗効果を発揮することが重要だ」との意見が出され、経済状況に関わらず地球温暖化対策を進める決意を最終日にまとめる文書に盛り込む方向で調整しているといいます。

 環境対策がコスト増になると考えると環境対策より経済対策だということになってしまいますが、こういう時こそ環境対策に積極的に取り組んでコストを下げることが大切だと思います。不況の時は売上を伸ばすことは確かになかなか難しいでしょう。そうなると量産効果でコストを下げるという手法は使えません。企業は売上が減っても利益を増やせる企業体質を作り上げなければなりません。そのためには徹底したロスコストの削減が有効です。

 環境管理会計の手法の一つにマテリアルフローコスト会計(MFCA)があります。この手法は、製造のさまざまな段階で発生するロスを負の製品コストというロスコストで表し、ロスを見える化する手法です。廃棄物に含まれているのは材料のロスだけではありません。廃棄物を作るために人件費をかけ、設備を稼働してエネルギーをかけているのです。マテリアルフローコスト会計は材料ロス、システムロス(人件費等)、エネルギーロスの3つのロスを把握します。どの工程でどれだけのロスが発生しているかを金額で見える化することができます。そこに焦点をあてて改善に取り組むことができます。

 歩留まりを向上させ、品質を上げればロスは少なくなります。加工ロス、切替ロス、在庫ロスもMFCAであぶりだすことができます。ロスを減らせば廃棄物も減り、投入するエネルギーも減ります。結果としてCO2排出量を始め環境負荷が減るということになります。つまり環境貢献活動と経営貢献活動が両立するのです。不況の時こそ環境管理会計の一手法であるMFCAが役に立つと言えるのではないでしょうか。

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環境会計でコスト削減

 昨日の日経新聞朝刊に、「環境会計でコスト削減-比較可能な共通基準必要」という記事が掲載されていました。

 環境会計の分野で注目を浴びているのがマテリアルフローコスト会計(MFCA)です。2006年3月期にMFCAを導入したコンプレッサー製造のサンデンの斉藤好弘環境推進本部長は、「環境会計で効果的にコストを削減できた」と話します。主力の赤城工場(前橋市)の製造コストが2%低下し、CO2排出量も1%減ったそうです。

 MFCAは、製造プロセスにおけるマテリアル(物質・原材料)のフローとストックを物量単位と金額単位で測定する原価計算システムのことで、本来の製品(正の製品)ではない廃棄物や排出物(負の製品)についても、それらがマテリアルロスとなるまでにかかった原価を正確に算定しようとするものです。

 サンデンでは、アルミニウム棒材の切削工程で大量に出るアルミ粉が問題でした。MFCA導入で客観的に問題点を把握した上、粉を減らすため切削する刃の薄型化を考えつきました。ふたを開けると粉の発生量が減少、同時に棒材から取れる部品の量も導入から2年で3%増加したそうです。

 経済産業省によると、2007年度末でのMFCA導入社数は前の年度から8社増えて50社になったということです。経産省の旗振りで3年後にはISOでの国際規格化を目指しており、増加ペースが上がる可能性があります。

 日本で初めてMFCAを導入したのは2000年の日東電工です。電子部品用粘着テープなど、成長分野だが工程数が多く廃棄物の出やすい分野に適用しています。2002年3月期にはテープの端材や不要な接着剤など「負の原価」は適用分野の製造コストの32%を占めていたが、2009年3月期には10%まで下げられる見通しだといいます。MFCAは無駄を生じる場所を発見し体質改善につなげる効果があるといえるでしょう。

 環境会計の導入企業は徐々に増えているとはいえ、課題もあります。まず、廃棄物の分類や重さなどのデータ測定には手間がかかるため、人手の少ない中小企業では早急な導入は困難です。また環境会計は管理会計のため、基準がまちまちで、社外への公表も前提にしていません。自社の過去と現在の比較はできても、異業種同士はもちろん、同業種の間での比較も困難です。各業種の業界団体が主導し比較可能な環境会計の制度づくりが必要でしょう。

 まだまだ課題は多いですが、環境報告書に掲載する企業も増えてきており、産業界の共通の土台として普及することを望みたいものです。

  マテリアルフローコスト会計については、以下の本が詳しいです。比較的平易に解説し、4社の実践事例を紹介しています。マテリアルフローコスト会計の概要や、その有効性を理解するにはいい本だと思います。

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日本の環境管理会計

 日経エコノミーに、11/16に経済産業省が日本の環境管理会計をISOに提案したとの記事が掲載されていました。

 最近は、多くの企業経営者が環境経営を意識するようになってきました。また環境に対する企業の取り組み姿勢を社内外に示す説明責任も問われています。しかし企業は営利追及組織である以上、持続的な環境保全活動を行うためには、環境保全活動と経済活動の両立が企業経営にとって重要となってきます。つまり、環境に対する取り組みにどれだけのコストをかけて、どれだけの効果を上げているのかをきちんと把握する必要があります。環境会計は環境に関する会計情報を提供するツールです。環境会計は環境負荷低減のために投資したコストとコスト対効果を数値として示した会計情報です。

 環境保全のためのコストは貨幣単位で表現することができますが、環境保全効果は貨幣単位で表現する試みはあるものの、統一的手法が確立されていないため、物量単位で示すことにしています。

 環境会計を環境報告書等を通じて社外へ公開している企業も増えてきました。環境省のガイドラインは有りますが、各社毎の基準(特に見なし効果)で実施されているため、他社比較が出来ず、その効果は限定的なものになっています。

 今回、経済産業省は「マテリアルフローコスト会計」を提案の中心にしています。マテリアルフローコスト会計は簡単にいうと次のようになります。投入された原材料を物量で把握し、マテリアル(主原料、補助原料など)が企業内もしくは製造プロセス内をどのように移動するかを追跡します。その測定対象として、最終製品(良品)を構成するマテリアルではなく良品を構成しないロス(無駄)分に注目し、ロスを発生場所別に投入された材料名と物量で記録し、価値評価しようとする手法です。そして、このロス分をマテリアルロスと呼び、マテリアルロスを削減するとこで、環境負荷を低減しかつコスト削減を同時に達成することを目的としています。

 本当の環境負荷の低減は、一企業のみで把握できるものではなく、サプライチェーン全体で測定されるべきです。サプライチェーン全体の中で環境に関して最も非効率な部分から対策を講じていくことが地球環境全体には最も有効な環境保全対策になるはずです。サプライチェーン全体で、どのようにマテリアルが流れ、どこで非効率が生じているかを把握するシステムとして有望視されているのがマテリアルフローコスト会計と言えます。

 

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