資源枯渇

レアメタル不要の太陽電池

 今朝の日経新聞に、「太陽電池 レアメタル不要 昭和シェル系、IBMと開発へ」という記事が掲載されていました。

 昭和シェル石油子会社のソーラーフロンティア(東京・港区)は、米IBMとレアメタルを使わない新型太陽電池の共同開発で合意したそうです。共同開発するのは、原料に亜鉛、銅、スズ、硫黄などを使用する「CZTS太陽電池」。主流の結晶シリコンを使うタイプと異なり、金属化合物を原料とします。「CIS太陽電池」と類似しますが、CISの原料であるインジウムなどのレアメタルが不要ということです。製造コストもCIS系かた1割以上低減できるといいます。

 日本は、尖閣諸島問題で中国に実質上のレアアースの輸入制限を受けるということが発生しましたが、この事件が却って脱レアメタルを目指すいい機会になったかもしれません。これからこの動きは加速するでしょう。鉱物資源に限らず希少なものはなるべく使わない、大事に使う、再利用するなどの取り組みをしていきたいものです。

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環境にやさしい希少金属開発

 録画DVDより、2/17に放送された「素敵な宇宙船地球号-江戸の奇跡 石見銀山の知恵」を見ました。

 南太平洋に浮かぶ「天国にいちばん近い島」、ニューカレドニアは、ある希少金属の世界最大の産出国としても知られています。それは日本が世界第二位の消費国となっているニッケルです。ニューカレドニアでは19世紀後半からニッケル開発が始まり、日本からも1892年から1941年まで、5千人以上の移民が渡り、開発の労働力となりました。しかし、山肌がむき出しのまま放置された鉱山からは、雨が降ると赤土が流れ出て、川底から沖合のサンゴ礁に至るまで覆い尽くしてしまいました。海の底にはサンゴの死骸があふれ、魚が生息できなくなっています。
 今も十数カ所でニッケル鉱山の開発が進んでいます。海のそばでも、カナダ資本のゴロ・ニッケル社が2008年12月からの創業を目指して総工費3500億円の開発を進めています。日本の住友金属や三井物産も参加しています。今後29年間で東京ドーム10個分の森林が毎年、伐採される予定だそうです。2006年4月には、鉱山側の環境対策に不満を抱いた先住民の一部が暴動を起こす騒ぎとなりました。移民した祖父の代から鉱山で働き続けてきた日系三世のギー・サクモリさんは、ニッケル開発に尽力した日本人の子孫であることを誇りに思っていますが、その仕事が島の自然を破壊する現実に悩み続けていました。「私にはどうしたらいいのか解らない」。そのカギが日本にありました。

 2007年夏、島根県大田市にある石見銀山は世界遺産に選ばれました。選定の理由は「環境に優しい開発」でした。最盛期には世界の5分の1の銀を産出した世界最大の銀鉱山です。大規模な開発に着手したのは徳川家康です。石見銀山を幕府の直轄領とし、選りすぐりの家来を派遣しました。中でも初代奉行の大久保長安は鉱山の中心に数万人規模とも言われる鉱山都市を作りました。関係者が山とともに暮らすことで、自然に気配りした銀山ができると考えたのです。教育制度を整え、人材を育成、木材を伐採したら必ず植林を行い、森を厳しく管理しました。また、不要な開発を防ぐため、植生や地形から銀鉱脈を正確に探り当てる山師が各地の鉱山から集められ、「間歩(まぶ)」と呼ばれる人一人がくぐれるほどの坑道が細い鉱脈に沿って掘り進められました。その数実に600本。その一つ一つに採掘権が発行され、高さ約1メートル、幅60~70センチの規格にほぼ統一されています。開発がきちんと管理されていたことが山の環境を守ることに繋がっていました。さらに、外国の多くの鉱山で環境破壊をもたらしていた水銀を使わず、鉛を使った独特の精錬法にも、自然にやさしい配慮がありました。

 2008年1月、ニューカレドニアの日系三世、サクモリさん夫婦は初めて、祖父・忠吉さんの故郷、熊本を訪ねることになりました。途中、サクモリさんの希望で立ち寄ったのが石見銀山です。必要最低限の範囲を掘り進めることで世界一の銀山になったと聞き、特に「間歩」に興味津々です。「ここは私の知っている鉱山とは全く違う。まさに大自然の中にいるようだ」。400年も開発を続けながら、周辺の環境を守り抜いた奇跡の開発を目の当たりにしたサクモリさんは帰国後、鉱山の開発跡地に植林を始めました。サンゴを救う動きもあるなど、少しずつ変化が起きています。サクモリさんの持ち帰った江戸の知恵が、南の島を救う日が来るかもしれません。

 日本人には、自然と共生しながら開発する知恵が昔からあったのです。特に江戸時代は鎖国が行われていたこともあり、資源の乏しい日本においては徹底したリサイクルがごく自然に生活の中で行われていました。失われてしまった江戸庶民の合理的でムダのない暮らしの知恵を今一度見直してみる必要があるように思います。

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気候変動より深刻な資源枯渇

 日経エコロジー1月号に、1972年に出版され、大きな反響を呼んだ「成長の限界」の著者の1人であるデニス・メドウズ氏のインタビュー記事が掲載されていました。

 メドウズさんは、仮に気候変動問題が何とか解決しても、先進諸国の人々が今の生活を続ける限り、また別の環境問題が深刻化してくると警告しています。そもそも化石燃料の消費量だけを考えれば、資源枯渇により2050年には今の半分以下になります。つまり、温暖化よりも資源枯渇の方が先に深刻化します。資源枯渇という視点で「成長の限界」が見える中で、持続可能な発展は可能かという問いに対して、メドウズ氏は次のように答えています。

 「『成長に限界がある』という時の『成長』は、エネルギー消費や物質的な拡大を意味します。マズローの欲求五段階説では、こうした物質的な欲求は人の欲望の中では低い階層のものです。産業のほとんどはこの低い段階の欲求に応えることで利益を上げてきました。、一方、心の安寧や自己実現などのより高い段階の欲求はエネルギー消費や物質的な拡大を伴いません。産業がこうした欲求に応え、ビジネスにできれば、『成長の限界』の中で、社会や企業は発展し続けられるはずです。」

  確かに、これまで産業は人々の物質的欲求を満たすものを商品として提供してきました。これからは、より精神的欲求を満たすサービスのようなものを提供する必要があるということでしょう。たとえば、これまでモノとして販売していたものを機能サービスとして提供する、あるいはサービスが付随した製品の提供により、使用期間中もサ-ビス提供による代金を得るというビジネスモデルの発想があります。いわゆる「サービサイジング」という概念です。消費者が購入し、利用している家電製品や自動車などの製品は、モノ自体の所有ではなくサービスを享受しているという捉え方です。

 有名なのが、松下電器の「あかり安心サービス」です。「廃棄物の処理および清掃に関する法律」では、工場やオフィスなどから棄てられる使用済みランプ類についても排出者への責任が厳しく問われており、違反すると罰則を支払わなければなりません。特に、よく使われる蛍光灯の中には微量の水銀が含まれており、適正な処理をしなければなりません。「あかり安心サービス」はランプの所有権はサービス会社のままなので、排出者責任が利用者に及ばず、マニフェストの管理も不要です。使用済みランプはサービス会社が責任をもって回収し、リサイクルなど適正処理をします。コスト面でも15~20%削減することができます。「欲しい機能をサービスとして提供する」このしくみは社会に受け入れられています。

 同様のしくみはこれまでモノとして販売していた他のものにも応用できるでしょう。人間が本来欲しているものはモノだけでなく、精神的な豊かさを実感できる機能、サービスだと思います。資源枯渇の危機を防ぐためにはこのような「サービサイジング」の考え方が重要になってくると思います。

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