森林

割り箸が訴える森林保護

 今朝の日経新聞に、「割りばしが訴える森林保護」という記事が掲載されていました。

 吉野地域の割り箸を全国レベルでアピールし、復権させようという動きが始まっているそうです。割り箸の消費量は年間203億膳で、ほとんどが中国からの安い輸入品です。国産品は5億膳程度です。日本の大量消費がCO2吸収源の「熱帯雨林」を破壊しているとの一部環境団体の非難が追い討ちをかけ、輸入割り箸の排斥運動に巻き込まれたことも国産品の低迷に拍車をかけたとも言われています。そんな中、国産品の約7割を占める生産地、吉野は何とか踏みとどまり、2008年秋に、地域の森林と地球環境を守る「Yoshino Heart プロジェクト」を立ち上げました。その柱が、袋に広告が入ったヒノキの割り箸を大手コンビニに割安で販売する「アドばし」プロジェクトです。輸入品との価格差を社会貢献を目指す企業からの広告収入で補填するという戦略です。ナチュラルローソンや南都銀行の「平安遷都1300年祭」のアドばしなどがあります。

 森林整備もCO2の吸収源を守る大事な仕事ですが、国産材の価格低迷で手入れがされず、荒廃が進んでいます。森林整備のコストを捻出する上でも間伐材の利用拡大を図ることが必要です。私も2008年5月に川上村を訪れた時、そのことを強く感じました。輸入品が置いてある飲食店ではマイ箸を使い、国産品をみつければ積極的に購入する。そんな意識を持って、環境問題や林業の問題を考えるキッカケにしたいものです。

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「吉野杉保全」に銀行が一役

 今朝の日経新聞に、「『吉野杉保全』銀行動かす」という記事が掲載されていました。

 高級材として知られながら需要が低迷する吉野杉の復権を目指す動きが奈良県で始まっているそうです。住宅メーカー、イムラ(奈良県橿原市)は、3.3㎡当たり100万円はする吉野杉の住宅を同60万円程度で販売しています。今は需要が拡大するリフォームに吉野杉が使えないか模索中だといいます。安さは、林業組合の一種である「川上さぷり」(奈良県川上村)と提携し、山林管理から製材までを一貫して手がけることでコストを下げ、実現したといいます。この両社を結びつけたのが地元の南都銀行で、林業と周辺産業をつなぐNPO法人の設立に協力し、取引先同士をつなぎ、新しい市場を開拓しようと動いているのです。住宅以外でも、NPO法人に登録した企業が、間伐材を使った割り箸や紙を開発し、コンビニやファミリーレストランで使用されているといいます。

 吉野杉が多く使われ、CO2を吸収する杉林の保全と地場産業の発展が両立するのは喜ばしいことです。ただ吉野杉は長年世代をつないで育てられるものですから、その価値を高く評価し、適正な価格で取引してほしいものです。

 また、本業でCO2をほとんど出さない金融機関が、環境ビジネスをどんどん応援し始めていますね。企業や消費者の環境意識の高まりが金融機関を動かしているのでしょう。環境ビジネスがどんどん育っていくことを期待したいものです。

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EUの森林破壊抑制提案

 今朝の日経新聞に、「EU森林破壊の抑制、国際目標提案へ」という記事が掲載されていました。

 EUは21/1からポーランドで開かれる国連気候変動枠組み条約第14回締約国会議(COP14)で、世界の森林破壊を食い止める国際目標の導入を提案するといいます。

 世界のCO2排出量の約20%分は森林破壊が要因とされ、同会議では森林破壊防止への取り組みが一つの焦点となっています。EUは同会議で、第1段階として2020年までに熱帯雨林の減少を現状の50%以下に抑える目標を提案します。第2段階として2030年までに世界の森林減少や劣化を食い止めるよう求めるとしています。

 EUはEU域内排出量取引制度のオークションで企業から得られる収入の5%分(15億-25億ユーロ)を途上国の森林対策に充てる用意があると表明するそうです。さらに途上国による森林破壊対策や森林保全などを監視する国際的な仕組みの創設を求めるとしています。バイオ燃料を生産するための農園開発で森林破壊が急速に進んでいる現状を踏まえ、バイオ燃料の消費国が生産条件などで共通基準を導入する案も示すといいます。

 COP14では森林破壊防止による排出枠の取得についても議論される見通しです。

 森林破壊防止は地球温暖化対策としても重要ですが、生物多様性保護のためにも重要です。一刻も早く減少ゼロにしなければならないと思います。森林を破壊しつくして絶滅したイースター島の悲劇を地球規模で起こすわけにはいきません。先進国の思惑で途上国の森林破壊が進められてきたという側面がありますから、先進国の積極的な支援が必要です。日本は自国の森林を守りながら経済発展を遂げてきましたが、その分途上国の森林破壊に加担してきたといえるでしょう。日本も一定の役割を果たさなければなりません。COP14で森林破壊防止策について積極的な取り組みが合意されることを期待したいものです。

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グリーン購入法見直し案で間伐材奨励

 日経エコロジー7月号に、「紙のグリーン調達の大枠固まる、間伐材奨励で製紙業界に波紋」という記事が掲載されていました。

 グリーン購入法は、国や地方自治体による物品の調達基準を定めています。紙の場合、古紙配合率が100%の再生紙であることなどが条件となっています。しかし、製紙業界の古紙配合率の偽装の発覚で、基準の見直しが検討されています。

 5月に環境省から出された見直し案では、基本的には従来通り、古紙100%の再生紙の調達を求めるが、これを満たす紙が調達しずらい場合は、古紙に代わって、「環境に配慮したバージンパルプ」を最大30%使った紙も認めるとしています。環境に配慮したバージンパルプの定義は6月末までに固めるとしていますが、見直し案では間伐材や森林認証材を挙げています。

 日本製紙連合会は「自主行動計画」に間伐材の利用促進を追加していますが、当の製紙業界の関係者の多くは、間伐材を運搬してチップにするインフラが十分整っていないことを理由に、間伐材を奨励しようとの動きに強い不安を抱いているといいます。また、仮にインフラが整っても、「間伐材の多くはスギなどの針葉樹で、厚手のクラフト紙原料や新聞紙などには向くが、コピー用紙などに使うには技術開発や新たな設備投資が必要」との指摘も多いそうです。ある関係者によると、「日本製紙連合会はいったん間伐材の促進を掲げ、長期的にインフラ整備を林業関係者に訴えるもくろみ」といいます。

 このような製紙業界の動きを見ていると、自分達が偽装事件を起こしておきながら、何かひとごとのように振舞っているように見えます。間伐材利用のインフラが整っていないのなら、林業関係者に任せっきりにしないで、製紙業界もインフラ整備を支援すべきだと思います。国は、100%古紙にこだわると需要を満たせないのでやむなく基準を緩めようとしているのに、製紙業界はそれに甘えているのでしょうか。反省しているのなら行動で示してほしいものです。

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吉野の森、エコツアー (終)

 ツアーの最後は、今回のエコツアーをコーディネートしてくださった泉谷木材商店さんです。

 泉谷さんより、吉野桧・吉野杉を最大限活かした製材・活用法の説明を受けました。原木市場の競り市から仕入れた吉野桧・杉は、長さ、太さ毎に仕分けし保存されます。そして、木の良さを最大限引き出すよう帯のこで製材されます。端材(こわ)は割り箸の原料として出荷されます。製材された木材は、乾燥機で構造材・造作材・内装材それぞれにあわせた含水率に乾燥されます。乾燥後、柱や土台、フローリングなどに加工されます。
 
 泉谷木材商店さんでは、建築現場で余った端材なども引き取り様々な小物商品を作って販売されているそうです。捨てられるものが息を吹き返し、お客様に喜ばれ、意外に大きな利益を生んでいるとのことです。設計家・工務店と幅広いネットワークを組み、健康的で環境にやさしい住まい創りをサポートされており、そうした姿勢が口コミで広がり、営業しなくても注文が入り、忙しい日々を過ごされているとのことです。これこそ正にCSR経営の本質です。利益は社会へのお役立ち料。結果としてついてきます。吉野の森を愛する心があるからこそ出来るんですね。

 施行例の一つとしてご自宅にも案内していただきました。木の温もりが感じられるご自宅でした。庭に目をやると雨水タンクが設置されていました。このタンクが庭木の水やりで2日で無くなるそうで、そう思うと水道水は使えませんね。我が家にも1つ欲しくなりまた。今は風呂水を使っていますが...。

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 お土産にいただいた「きのころ」は環境ジャーナリストの枝廣淳子さんがプロデュースしたものだそうです。枝廣さんが障害者施設の作業所を訪問された時、入所者や通所者の方々が捨てられる運命だった端材の木片にヤスリをかけて積み木に仕上げている様子を見て、自分もやってみたことがきっかけだそうです。少しずつ表面がつるつるになっていく感触が楽しく、しかもひのきのなんともいい香り。この体験、時間をたくさんの人に届けたいと...。私も今年の2月に中小企業診断士の仲間と兵庫県篠山市にある「いぬいふくし村」を訪れました。障害を持つ方が普通に過ごせる福祉社会の実現に向けて奮闘する皆さんや、障害者の方が重度に応じてできる仕事を行い、社会への役立ちを実感することで生きる喜びを得、結果として利益を上げて自律しておられる様子を拝見して感動したものでした。環境を守る心と福祉を支える心はつながっているんですね。

 最後に、今回の「吉野の森エコツアー」を通じて感じることは、皆さん本当に吉野の森を愛し、お仕事に誇りを持っておられるということでした。今回のツアーで学んだことはほんの入り口だと思いますが、現地でこうした活動に直接携わっておられる方々から見聞きしたことは何にも代えがたい経験だったと思います。私のこれからの活動に何らかの形で活かしていきたいと思っています。お世話してくださった皆さん、本当にありがとうございました。

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吉野の森、エコツアー (5)

 今回は、大宇陀の江戸時代から続く町並みで今も酒造りを続ける久保本家酒造さんを見学した時の様子を紹介します。

 大宇陀の道の駅から歩くことおよそ3分。江戸時代を思わせる古い町並みが見えてきました。格子を張った景観はなんとも風情があります。格子の間隔の狭い部屋はプライバシー保護度が高いということで、VIP用とのことです。

 お店の中は蔵元の久保さんに案内していただきました。銘柄は「初霞」。「生もと造り」で造られています。生もとで造られたお酒は、酵母菌が極めて厳しい環境で育てられる為、弱い者は死に絶え、優れた者だけが生き残ることから、もろみ末期までその勢いが衰えず、完全発酵したお酒が出来上がり、熟成して旨みが増し、キレがよくなり、しかもコクのある理想的なお酒に仕上がるとのことです。試飲させていただきましたが、確かに飲みやすく、すーっとおなかに入っていくような感じがしました。世の中の99%以上のお酒は市販の乳酸を使用しているそうですが、「生もと造り」とは市販の乳酸菌を添加せず、自然界にいる乳酸菌がつくる乳酸だけで仕込む、昔ながらのお酒の造り方だそうで、手間と時間と思いをかけることで、微生物の力を最大限発揮させるということなんだそうです。造れる量は限られているそうで、敢えて派手な宣伝はせずに、ニッチなお客様を相手に手間隙かけて味を守り続ける姿勢は中小企業が生き残る一つの戦略といえるでしょう。

 お酒造りには豊かでおいしい水が必要です。ここも森の恩恵を受けているんですね。それに酒樽には吉野杉が使われています。

 工場の横の蔵にはお客様が音楽を聴いてくつろげるスペースがありました。ピアノが置いてあり、時々演奏会も行われるそうです。そしてその奥にもう一つの蔵。ここはまだ使い道を考案中だとか。二階には古文書らしきものが並んでおり、お宝が眠っているような雰囲気でした。しばし地べたに座って木の肌触りに浸らせていただきました。168 170 181 173 174 175 179 180 178

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吉野の森、エコツアー (4)

 今回は、和田製箸所見学の様子を紹介します。

 吉野地方の山林で伐採された間伐材は、地元の製材所で柱などの建築材等に製材されます。この時、「木皮(こわ)」と称する残った端材(はざい)が出来ます。「吉野わりばし」はこの端材を加工して作っています。

 端材を適当な大きさに切断します。そしてしばらく乾燥させます。それを機械にかけて1本1本わりばしを作っていきます。わりばしを製造する過程で、いろんな木くずが出来ますが、それらは捨てるのではなく有効利用されます。「木毛くず」はスレート屋根の断熱材としての木毛セメント材へ、「木綿くず」は植生マットや室内装用の壁紙の原材料として、「おがくず」や「切れ端(木の端)」はお風呂の芳香剤や、わりばし工場で、箸加工時の沸騰や乾燥の燃料として、余すところなく利用されます。153_2 156 165 164 162 166

 

 

 

 それにしても出来立てのわりばしはいい香りがしますね。いただいた割り箸で帰宅後夕食をとりましたが、ご飯もおいしく感じられました。この香りは疲れたからだを癒してくれます。捨てるのがもったいないですね。家では洗って何度か使おうと思っています。

 割り箸については90%以上が中国産ということで、マイ箸を使うようにしているのですが、こういった間伐材の端材を有効利用している「吉野わりばし」ならぜひ使いたいものです。消費者が選択できるように、お店に置いてある割り箸にも原産地表示をしてもらいたいものです。

 尚、吉野わりばしについては吉野製箸工業共同組合のホームページに詳しい情報があります。

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吉野の森、エコツアー (3)

 今回は、2日目の朝に人工林の山を見学した時の様子を紹介します。この山を管理されている山守の民辻さんとその娘さんに案内していただきました。

 この山には200年~250年生の人工林があります。70~80年生の木から「採種母樹」と呼ぶ種取りをして貯蔵します。そして一定面積を皆伐して木材として出荷します。貯蔵した種は平地で苗に育てます。そして皆伐した跡地に、「地ごしらえ」という作業を行います。地面を覆っている枝や葉を取り除く作業です。そして苗を植え替え植林をしてまた木を育てるのです。3~4年の苗木を1haに7000本~8000本という単位で植えていきます。植林する時は比較的密集して行い、少し成長してくると「下草刈り」をして苗木の生長を助けます。植えたその年から3年間は毎年2回。以降は6年生頃まで年1回行うそうです。刈った雑草はそのままにしておいて腐らせて土の養分にします。そして7年生前後の木を対象に、「紐打ち」という作業を行います。これは一種の「枝打ち」や「除伐」のようなもので、地上1~1.5mぐらいの枯れ枝を払ったり、生長の悪い木を伐り払う吉野林業独特の作業です。目的は無節完満の良い木を育てるためです。16~20年生になるとと、「間伐」を行います。数年ごとに間伐を繰り返し、木の生長にあわせてその都度適正本数を保つように調整するのです。杉や檜、松などの針葉樹は密集して植えることによりまっすぐ育ちます。材として商品価値を持たせるためには、まっすぐな材が望ましいのです。まばらに植えられた杉や桧は下の方が太く、先端に行くに従って細くなります。木としては健全な成長ともいえるのですが、材としての商品価値は下がってしまうのです。また、間伐をしないと地上に光が届かず、木の成長も遅くなり、年輪幅も均一になりません。適度に間伐を実行することで健全な森林を維持することができるのです。70~80年生になって種取りをした以降の木は伐採して、「葉枯らし(渋抜き)」と呼ばれる方法で乾燥させます。伐採した木は山側に倒して、木の枝をつけたままの状態で、切り株の上にそのまま寝かしておくのです。これを「玉切り」といいます。こうすることによって水分をある程度取り除き、運搬労力とコストの低減を図るのです。切り株の上に乗せておかないと、地面から水分を吸ってしまうのです。葉枯らし乾燥を行った木材は、木の色艶が良い と言われています。 確かに、杉の黒芯材は、葉枯らし乾燥を行うことにより、明らかに黒さが和らぐようです。乾燥が終わりますといよいよ「出材」です。最近はヘリコプターで集材することが多いようです。そしてトラックで運搬され、木材市場から製材工場の送られます。107 103 108 116 096
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 素晴らしい美林を育む吉野杉の育て方は世界に誇れる技術となっています。最近は中国などから学者や政府関係者らが吉野杉の育て方を学びに来るそうです。しかしこうした技術はそう簡単に習得できるものではありません。何世代にも渡って育てられる吉野杉の育て方は代々受け継がれてきたものなのです。しかし、最近は高齢化が進み、後継者問題に悩まされているといいます。

 また間伐は、人工林を守る上で欠かせないものですが、最近それが実行されていないところもでてきているようです。原因はさまざま挙げられるのですが、つまるところは経済的な問題のようです。30年~50年もかけて育てた立木1m3あたりの価格は4000円~7000円といわれています。ひどい場合には3000円台などということもあるそうです。超がつくほどの安価で輸入される外材との競争力を持たせるために、末端価格があらかじめ決められているのです。製材や市場での手数料は、適正な利益が乗せられており、しわ寄せは、林業従事者に押しつけられているようです。成長した主伐材ですら、これほど買いたたかれるのです。間伐材が利益を生むはずもありません。木材がしっかりと活用されお金が林業従事者に還元されるようなしくみにする必要があります。林業が衰退すると日本の森林は守れません。

 1本の木を世代を超えて育てる林業の大変さを今回の見学で垣間見た気がします。刈っても刈っても生えてくる下草を、夏の暑い時期に刈り取る作業や、間伐、集材など何トンもの重さのある木を扱う林業がいかに大変な仕事か、想像するに難くありません。しかも年輪が均一な美林を育てるノウハウが詰まっている吉野林業はもっと評価されていいはずです。我々日本人は昔持っていた日本の木の良さをもう一度顧みる必要があるのではないでしょうか。

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吉野の森、エコツアー (2)

 今回は、川上村の奥地にある、吉野川(紀ノ川)源流の川上村三之公川流域に広がる森を見学した時の様子を紹介します。

 三之公地区には、広大な自然の森が、500年以上も昔からそのまま残されています。川上村ではこの貴重な天然林を後世に残すため、三之公地区約740haを購入し、「水源地の森」として保存することにしました。川上村の面積の約90%は山林ですが、天然林はその約30%にしか過ぎません。 標高が480mから1,050mとかなり高低差があり、ブナ、モミ、ツガ、トガサワラをはじめ、貴重な樹木が自然の成長、交代を繰り返しています。特にトガサワラは、紀伊半島中南部と高知県東部にしか分布しておらず、「生きた化石植物」と呼ばれています。

 私たちエコツアーのメンバーは「森と水の源流館」の辻谷館長、尾上さんの案内により、この森に入りました。森には神が宿ると昔から言われています。森の入り口で安全を祈願して手を合わせました。 そしてまず、「トガサワラ原始林」を見学しました。透き通るような清水の流れる源流のごつごつした岩に足を取られないように慎重に奥に進むと、そこに天然木がありました。なんとも力強い、そして神々しい姿をしているのでしょう。

 次に、「水源地の森」のすぐそばにある二次林を見学しました。ここもかつては「水源地の森」と同様の原生林でしたが、約20年前から、最近古紙配合率偽装で世間を騒がせたある製紙会社によってパルプ原料などとして伐採が進められた山です。その後自然に種が飛び、樹木が再び樹木が生育し始めたところがありましたが、一斉に伸び、放置されたままのため、うっそうとした藪の状態になっています。このような山では、樹木はしっかりと根付くことができず、下草の育成をさまたげ、雨のたびに斜面から土砂が流れ出します。そしてそれらは川に流れ込み、どんどん川を埋め、生き物にとっても厳しい環境になっています。

 川上村では、この山の一部を所有者から借り上げ、「森と水の源流館」が中心となって、山の手入れを行っています。土石の流出が絶えない斜面では、木柵を設置し土留めを行い、あらたに樹木が根付きやすい環境を作っています。この木柵には間伐材が使われています。既に藪になっている場所では、地面に陽射しが届くように除伐を進め、手入れするための小道をつけています。こうした様子を目の当たりすることができました。012_3 015 018 024 045 049 063 078 059 

 

 

 

 こうした取り組みは、川上村だけでなく、吉野川(紀ノ川)下流に位置する和歌山市も資金協力をしています。源流の森が崩壊しては、下流に住む多くの人々の飲み水が確保できなくなるだけでなく、海に森で蓄えられた栄養が流れなくなり、生態系にも影響を与え、私たちの食卓にも影響を与えるのです。川上村は私たちのために懸命に源流の森を守っているのです。川上村では「森守募金-芽吹きの砦プロジェクト」と題して水源地の森を守るための募金活動を行っています。この募金を使って吉野杉の間伐材を使った木柵を設置します。工事は川上村の山仕事の経験者の皆さんによって行われます。こうした水源地の森を守る活動に共感されたら、森守募金に応募してもいいですね。

 現地でこうした実態を見聞きし、木に触ってみることによって森を見る目が変わったような気がします。

 今回案内していただいた「森と水の源流館」の館長、辻谷達雄さんの本を紹介します。森と伴に生きる辻谷館長の人生と思いがいっぱい詰まった本です。一読をお薦めします。

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吉野の森、エコツアー (1)

 5/24、25の2日間、ある環境関連の異業種交流会が主催するエコツアーに参加してきました。その内容について数回に分けて記載したいと思います。

 初回はエコツアー全体の概要です。近鉄大和八木駅を集合場所とし、以下のようなルートでエコツアーは行われました。

<1日目>
泉谷木材商店
  今回のエコツアーをコーディネートしてくださった泉谷さんと合流
川上村「森と水の源流館」
  川上村「水源地の森」を案内してくださった辻谷館長と合流
川上村三之公 水源地の森見学
  川上村三之公川流域に広がる森を見学。吉野川源流の天然林、日本最古の人工林、原生林を皆伐してしまい大きく環境が崩れた現場を見学
④ホテル杉の湯に宿泊
<2日目>
⑤山守の民辻さんの管理されている高原の山の見学
  200年~250年生の人工林の見学
もくもく館 吉野林業
⑦吉野町 和田製箸所見学
  吉野桧の端材を使った割り箸の製作工程を見学
久保本家酒造見学
⑨桜井 泉谷木材商店見学
  吉野桧・吉野杉を最大限活かした製材・活用法の説明を受ける

 かなり盛りだくさんの内容でした。林業の生業や吉野の森の現状、課題、木材活用の取組など多くのことを学ぶことができました。これから数回にわけて、その概要をご紹介したいと思います。

 それにしても降水確率90%の天気予報の中、奇跡的にも森の中に入った時は小雨程度で済みました。本当にラッキーでした。

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