生物多様性

リグニンで古紙をプラスチックに

 11/7(日)の「夢の扉」という番組で、「木から作るプラスティックで世界を変えたい」という放送を見ました。

 古紙などの木質系廃棄物からプラスチックが作れるというのです。開発したのは三重大大学院の松岡正光教授。古紙を水に溶かして型にはめ、作りたい形に成型します。乾燥させると形が出来ますが、このままでは強度が弱くちょっとした力で崩れてしまいます。それで、古紙を成型した物体をリグニンという物質を溶かし込んだ溶液に浸します。すると木のように硬くなるのです。硬くて軽いプラスチックのような製品が出来上がるのです。

 リグニンというのは、木の中に含まれている物質で、木の繊維の中に入り込み、鎖のように縛りつけ硬くする性質があるのだそうです。木が立っていられるのもリグニンがあるからなんです。の性質は木を切り倒して切断した木片になった状態でも維持されます。これまで、世界中の多くの研究者が木からこのリグニンだけを取り出そうと試みてきましたが、実現できませんでした。木の繊維だけを溶かし、リグニンを取り出そうとしてもリグニンも一緒に溶けてしまって取り出せなかったのです。松岡教授は、ある日まずリグニンをコーティングして溶液に溶けないようにしてから木質繊維を溶かし、リグニンだけを取り出すことに成功しました。研究を開始して15年が経過していました。その2年後に"リグぱる"というプラスチックを完成させたのです。すでに2005年に開催された「愛・地球博」で紹介された「未来の乗り物」、トヨタのアイユニットのボディにも使われていました。

 「リグぱる」で作った製品は、その役目を終えると、溶かしてまた新しい形に成型して、もう一度リグニンの溶液に浸すことで、何回でも蘇るといいます。いま、徳島県那賀町の山間部にリグニンを取り出す大型プラントを建設する計画があるそうです。材木業などからでる木質廃材を使ってリグニンを大量に取り出し、有り余る古紙などの原料からプラスチック製品を作るというのです。

 石油が枯渇するのは時間の問題です。素材としての石油に代わるのが木から作るプラスチック。生物資源から益々目が離せません。

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微生物を活用した無農薬農業

 昨日(11/1)、NHKクローズアップ現代にて、「微生物とつながる農業」という番組が放送されました。

 「エンドファイト」と呼ばれる植物の体内に入り込む微生物は、植物の成長を早めたり、病気や虫から植物を守る効果があるそうです。「奇跡のリンゴ」で知られる木村秋則さんの無肥料、無農薬の自然栽培のリンゴの木を調査すると、たくさんの微生物がいることも紹介されていました。

 これまでは農薬で微生物を殺して植物を育てていたのですが、微生物と共生することで植物が育つというわけです。兵庫県豊岡市の「コウノトリ育む農業」でも実践されていますように、自然界には害虫もいますが、それを食べる益虫もいる。自然の生態系の中で多様な生物がバランスよく生息することで植物も育つというのは理に適った方法かもしれません。

 エンドファイトに着目し、研究している企業もあります。㈱前川製作所。グループ会社が経営するゴルフ場の芝生に撒く農薬を減らしたいと考えたことがキッカケだったそうです。

 ただ、エンドファイトが寄生している牧草を牛や馬が中毒を起こすという報告もされています。良い面だけでなく懸念材料についても研究がされて、うまく農業に活かされることを期待したいです。

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ミドリムシでCO2削減

 録画していたDVDから10/24に放送された「夢の扉」という番組を見ました。番組タイトルは「ミドリムシの秘めた力で地球を救いたい」

 中学生の理科の教科書に出てくる単細胞動物ミドリムシは、体内に葉緑素を持ち、光合成をする動物です。べん毛で動き回ることができます。植物的性質と動物的性質を持っているため、非常に多くの栄養素を持っています。生態系の底辺に位置し、ミジンコなどのプランクトンの餌になります。どこにでもいるのですが、直ぐに菌が寄ってきて食べられてしまうので、大量に培養することが困難とされてきました。

 ところが、最近このミドリムシ(学名:ユーグレナ)の大量培養に成功した会社が現れました。株式会社ユーグレナ。社長の出雲充さんは、元東大生。在学中にミドリムシの培養の研究をしていました。ミドリムシ以外の生物が嫌がるような酸性の液体を作れば、ミドリムシを培養できると考え研究を重ねましたが、時間切れで断念し、銀行に就職するのですが、勤務中にもミドリムシのことが頭を離れず、1年で銀行を退職し、株式会社ユーグレナを設立されました。研究を重ね、ついにミドリムシの大量培養に成功しました。

 この会社では、ミドリムシを粉末にしてサプリメントや機能食品を開発しました。また、火力発電から出る高濃度のCO2を含むガスをミドリムシに吸収させ、培養させることにも成功しました。さらに実証実験を計画しています。さらにミドリムシからバイオ燃料を作ることにもチャレンジされています。ミドリムシには多くの種類があり、まだまだ多くの秘めた力があると考えられています。

 この番組を見て、本当に感動しました。生物の力はすごい。我々人間は生物の一員で、多くの生物の力を借りて生きているのです。生物の秘めたる力を引き出し有効に使うことが重要であるとともに、生物を守っていくことが人間の役割なんだと。名古屋で開かれていた第10回生物多様性条約締約国会議(COP10)は名古屋議定書を採択して閉幕しましたが、生物多様性について、これからも関心を持って見ていきたいと思います。

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生物多様性減少による経済的損失

 今朝の日経新聞に、「生物多様性、失われた場合・・・経済的損失 最大4兆5000億ドル」という記事が掲載されていました。

 国連環境計画(UNEP)は、生物多様性が失われた場合の経済的な損失を試算し報告書にまとめたそうです。それによると、熱帯雨林や湿地などの破壊が、農作物の減少や水の浄化作用低下などを引き起こし、さらに医薬品などの原料となる遺伝子資源の減少などを通じて、年間2兆~4兆5000億ドルの経済損失が続いていると指摘しています。

 人間は自然から無限ともいえる恩恵を受けて生活していますが、そのことに気づいている人は少ないのでしょう。あるいは気づいているが、目先の利益のことを優先して考えないようにしているのかもしれません。その意味で生物多様性の価値を経済的価値に置き換えることは、人間の危機意識を高める意味で有効と思われます。

 生物多様性は温暖化とも密接な関係があります。森林伐採をやめて生物多様性の保全に務めることは、森林の持つ炭素貯留機能を高めることになります。温暖化と同様に早急な対策が必要です。

 企業にとっても生物多様性は無関係ではないはずです。農林水産業者や食品加工業にとっては、その関係性は理解しやすいかもしれませんが、一般の製造業にとってはわかりにくいのかもしれません。しかし、たとえば輸入している原料が自然破壊に関係していないかということをしっかり調べる必要があります。いつ何時、自然保護団体から訴えられるとも限りません。知らないでいることはリスクになります。自社にとっての生物多様性との関係を調査・整理し、対策を検討することが重要です。

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生物多様性保護がビジネスになる

 今朝の日経新聞に、「生物多様性、動き出す企業-豊な緑で人を呼び込む」という記事が掲載されていました。

 横浜市に近い大成建設の技術センターは、2007年の改装時に地形や地質などを付近の緑地と比較分析した上で、呼び寄せる鳥を具体的に想定し、木々の成長を勘案して配置したそうです。最近ではアオジやシメ、エナガ、カワラヒワなどの野鳥が飛来しているといいます。

 2007年に完工した大阪・難波の「なんばパークス」には7万株の樹木を植えた屋上庭園があります。施工した大林組の観察では、1年間に鳥14種と昆虫93種がやって来たといいます。

 フジクラが東京都江東区の工場跡地で進める再開発では、オフィスビルが立ち並ぶ敷地の一角に約2200㎡のビオトープ(生物生息空間)を作るといいます。池に荒川の魚を放し、関東臨海部の自然を再現するそうです。

 大林組の研究員は「人間の傍らに生き物がいることは、人工環境の新しい価値になる」と言います。確かにそうですね。「なんばパークス」の屋上庭園は多くの買い物客が散策しています。緑豊かな生態系は人を惹きつけます。人が集まるとそこにビジネスが生まれます。企業がそこに目をつけることは自然の成り行きです。「モノの豊かさ」から「ココロの豊かさ」へと言われて久しいですが、多くの人々がそのとを実感し始めているのでしょう。単純化されてしまった都市の生態系を多様なものに変えていく取り組みが、企業にとっても有益であるという認識がもっと広まることを期待したいです。

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バイオミミクリー

 今朝の日経新聞に、「生物多様性、経営に生かす-開発のヒント自然界に」という記事が掲載されていました。

 王子製紙が蛾の目の構造を再現するLEDの加工技術を開発したそうです。蛾の目には表面に微細な凹凸があり、光を反射で逃がすことなく取り込むことができます。太陽電池やLEDに応用すれば発電や発光の効率を高めることができるといいます。

 小型風力発電機を製造販売しているゼファーは、川をさかのぼるコイの尾びれをヒントに風力発電機に自在に動く尾翼をつけ、発電量を2割高めることを狙っています。カナダ東部のプリンスエドワード島で性能試験を始めたそうです。また風を切る音を減らすために参考にしたのはフクロウの翼だそうです。

 日産自動車は、衝突することなく泳ぐ魚の群れを観察し、周囲との距離に応じて加速したり向きを変えたりする行動パターンを研究中だそうです。ぶつからない車や、駐車車両をスムーズに追い越すシステムの開発につなげたいといいます。

 生物の機能などを模倣することをバイオミミクリーといいます。自然界には製品の付加価値や企業競争力を高めるヒントが多く潜んでいます。人間は自然界から多くのことを学ぶことができます。人間は自然界や生態系から数え切れないほどの恩恵を受けています。地球は人間だけのものではありません。自然をそして生態系を慈しみ、愛すること、それは人間にとってもその他の生物にとっても長く地球に住み続けるための基本です。今年は10月に名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)も開かれます。改めて生物多様性について考えるキッカケにしたいと思います。

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生物多様性保全の格付け評価

 昨日の日経新聞に、「シャープ 生態系保全へ『格付け』-事業部門や子会社対象、取り組み、数値で評価」という記事が掲載されていました。

 シャープは事業部門や子会社の生物多様性保全への対応の取り組みを数値評価する仕組みを作り、2010年度から全社に適用するといいます。調達、開発、生産、販売、物流、社会貢献の6分野について「生物多様性チェックシート」を策定し、温暖化ガスや化学物質の排出削減、用水使用量の削減といった定量評価と、「製品の取扱説明書で省エネ・節水など生物多様性保全につながる使用法を提案しているか」などの定性評価を組み合わせています。得点には削減率や実施中の計画の進み具合によって差をつけているそうです。

 今年は10月に名古屋市で生物多様性条約締約国会議COP10が開催されます。こうした動きを受け、大企業を中心に生物多様性保全の行動計画を策定する企業も増えているといいます。今回のシャープの格付けは社内向けのようですが、そのうち取引先の評価・選別にも適用されてくるのではないでしょうか、大企業と取引している中小企業にとっても人事ではなくなります。自社が生物多様性にどのように関わっているのか、改めて見直してみる必要があります。たとえば食品加工業などでは大量の水を使う場合も多いでしょう。水の使用量を削減することは正に生物多様性保全につながる活動になります。人間は生態系から計り知れない恩恵を受けています。水も空気もない宇宙空間で生活するのに膨大なコストがかかるのを思い浮かべればその重要性に気づきます。人間の生命に直接的に影響を及ぼす生物多様性について、今年はしっかり考える年にしたいものです。

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海洋酸性化の影響が確認される

 今朝の日経新聞に、「海水中のCO2増加-プランクトン成長阻害」という記事が掲載されていました。

 地球温暖化により、プランクトンの体を作る炭酸イオンがアラスカ沖の北極海で極端に減少しているといいます。海洋研究開発機構とカナダの研究所の共同チームによると、温暖化で海中に溶けるCO2が増えると水素イオンが増加。海水が酸性化して、中和反応が起きるたびに炭酸イオンが失われる。プランクトンは海中のカルシウムイオンと炭酸イオンが体の材料になることから、炭酸イオンが失われるとプランクトンが成長しにくくなるということだそうです。プランクトンは小魚のエサで、それが足りなくなれば、大型魚の生息数も減る恐れがあります。食物連鎖を通じて海洋生態系全体が乱れてしまう危険性があるといいます。

 2008年と2009年の2回の調査で炭酸イオン濃度が低下している海域が拡大していることもわかったそうで、理屈だけでなく、現実的にプランクトンの減少が確認されたとなると、一層の危機感を感じます。12月にコペンハーゲンで開催されるCOP15(第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議)で海洋酸性化についても議題とするよう求める声も上がっているそうです。世界各国が危機感を共有するよう願いたいものです。

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温暖化進行で絶滅危惧種さらに増加

 今朝の日経新聞に、「日本の多くの生物、絶滅危機-来年のCOP10向け国が報告書」という記事が掲載されていました。

 2010年に名古屋市で開く第10回生物多様性条約締結国会議(COP10)に向け、日本政府が国別報告書案を作成しました。条約は絶滅の恐れがある動植物の保護が目的で、COP10は2002年の会議で採択した「2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」とした目標の実行状況を検証し、新たな対策をまとめることになります。

 報告書案は冒頭、日本固有の自然が「広い範囲で失われてきている」と国内の野生生物を取り巻く状況は厳しいと指摘しています。国内の絶滅危惧種は現在、3155種。2005年と比べて17%増えています。たとえば、熊本県の阿蘇地方にすむハナシノブなどの植物は、畜産業の後継者不足などで草原の管理が滞り、絶滅危機に追い込まれています。琵琶湖ではゲンゴロウブナなどの固有種が外来魚に駆逐されて激減しています。本州中部の山岳地帯にすむライチョウは平均気温が3℃上がると絶滅する恐れが強いといいます。報告書案では特に沿岸地帯や高山帯を中心に温暖化の「深刻な影響が生じることは避けられない」と指摘しています。

 世界各国でも野生生物の減少は続いており、森林減少などで全世界で年間4万種の生物が絶滅していると推定され、「2010年目標」の達成は絶望的です。EUからは温暖化のような経済活動に規制をかける目標の提案も出ているようです。COP10で議長国をつとめる日本は、政府内や産業界から規制に慎重な声もあり、難しい舵取りをすることになりそうです。

 温暖化も資源枯渇も、そして生物多様性も、現象は違っても原因は共通していると思います。  人類も生物の一員であるという認識に立ち返り、自然と共存して生きていかなければなりません。そのためには経済的発展にもある程度の自制が必要です。各国の利害も異なり、調整は難しいとは思いますが、「人類が存続するために」という共通の目的に立ち返り、日本がリーダーシップをとって対策をまとめてほしいものです。

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生態系守るパーム油の認証始動

 日経エコロジー3月号に、「生態系守るパーム油の認証始動 食品や消費財メーカーの波紋」という記事が掲載されていました。

 世界一消費量の多い植物油であるパーム油で、生物多様性を保全する認証制度が始まりました。

 パーム(アブラヤシ)の実から搾油・精製するパーム油は、チョコレートやカップ麺などの食品のほか、洗剤の界面活性剤に使用され、世界の年間消費量は4000万トンにも上ります。そのため、主要産地のボルネオ島では熱帯雨林を伐採して大規模パーム農園を切り開く例が多く、オラウータンやボルネオゾウが絶滅の危機に陥っています。

 そこで、2004年にWWF(世界自然保護基金)とユンリーバなどのパーム油利用企業がRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)を設立し、生物多様性保全などを盛り込んだ8原則39基準を採択しました。基準には、農園が環境を保全する計画を立て、実行・評価・改善しているかという項目や、農園が希少種や絶滅危惧種に及ぼす影響を調べ、保全のための経営計画や業務を考慮しているかという項目が定められています。

 2008年秋、これらの基準を満たすことを証明する「RSPO認証制度」が始まり、マレーシアの農園ユナイテッド・プランテーションズが第1号の認証を取得し、2009年1月29日までに6農園が認証を得たそうです。

 パーム油利用企業は認証取得した農園から購入したパーム油を利用した場合、この認証を最終製品に表示することができます。表示する際には、以下の4つの方式から選択することができます。①認証農園と非認証農園のパームを流通段階で完全に分離する方式、②認証農園同士のパーム油は混ぜるが、非認証品とは分離する方式、③認証品と非認証品を混合し、比率に応じて最終製品に表示する混合方式、④認証農園が発行した認証クレジットをパーム油利用企業が購入し、最終製品に表示する認証取引方式

 日本ではサラヤ(大阪市)が検討を始めています。ライオンや花王、三井物産などは様子見の状態です。食品メーカーは意識が低く、RSPOを知らない企業も多いといいます。

 日本企業の生物多様性についての意識はまだまだ低いようです。森林破壊は地球温暖化にも悪影響を与えます。消費者の意識が高くなれば企業も動きます。われわれ消費者も生物多様性についてももっと関心を持たなければなりませんね。

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